二見いすず: 今月のドクタートークは9月9日の「救急の日」にちなみ、「救急医療」をテーマにお送りしております。
お話は、鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターです。
吉原さん、よろしくお願いいたします。

吉原秀明Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、救急医療は地場産業であり、それぞれの地域の特色や医療を取り巻く環境に適応させることが大切だというお話をお伺いいたしました。
その一環として、鹿児島県では2011年度からドクターヘリが導入されているということでしたが、今週はドクターヘリについて詳しく教えてください。

吉原秀明Dr: はい。
ドクターヘリとは重症で緊急性の高い患者に対応できる救急専用のヘリコプターで、医療機器を装備し、医薬品を搭載しています。
ドクターヘリの出動要請があれば、特別な研修を受けたフライトドクターとフライトナースが搭乗して、現場に駆け付けます。

二見いすず: ドクターヘリがあれば、重症に苦しむ患者さんもいち早く診断や医療行為を受けることができるのですね。

吉原秀明Dr: そうですね。
長距離搬送の場合は、ヘリでの搬送時間の短縮や医療開始の迅速化というメリットがあると思います。
県内の現場への到着時間は119番通報から平均25分という数字も出ています。

二見いすず: そうですか。
鹿児島県は離島を含めて広域に広がっていますから、こういった体制があると大変心強いですね。
年間の実績はどのくらいでしょうか。

吉原秀明Dr: 平成26年度は836回の出動がありました。
その中で約3割が救命効果や後遺症の軽減効果がありまして、また約9割の事例で何らかの効果が認められています。

二見いすず: ドクターヘリによって、たくさんの方々の命や健康が守られているということですね。
私たち個人も出動要請ができるのでしょうか?

吉原秀明Dr: これはよく尋ねられますが、ドクターヘリは一般の方は出動要請することはできません。
119番通報を受けた消防機関が患者の重症度等を判断して要請を行います。
また、ドクターヘリは夜間の運行はできません。
運行時間は午前8時30分から日没までとなっています。
天候によっては運行が難しい場合もあります。

二見いすず: 分かりました。
では、ドクターヘリは私たちの身近な場所にも着陸するのでしょうか。

吉原秀明Dr: はい。
鹿児島県では約800カ所がランデブーポイントという離着陸想定場所に指定されています。
これは他県よりも多い数字です。
救命・救急のために多くの方々にご理解とご支援をいただいているととらえると、誇らしいことです。

二見いすず: ドクターヘリの活動には県民の理解と協力も欠かせないということですね。

吉原秀明Dr: おっしゃる通りです。
ヘリの離着陸時の安全確保のための避難や、騒音、風の吹き下ろしなどの問題もありますが、ヘリを使った救急でなくては助からない命があることにもご理解をいただき、ご協力いただければと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の吉原秀明(よしはらひであき)ドクターでした。
ありがとうございました。

吉原秀明Dr: ありがとうございました。