2016.10.15 第702回放送分 『子どもの眼と視力』 ゲスト:藤井 智仁ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「目の愛護デー」にちなみ、「子どもの眼と視力」をテーマにお送りしております。
お話は、鹿児島県医師会の藤井智仁(ふじいともひと)ドクターです。
藤井さん、よろしくお願いいたします。

藤井智仁Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は乳幼児期の子どもの眼についてお話をお伺いいたしました。
小さな子どもは眼に異常があってもそれをあらわすことができないため、3歳児検診では必ず視力検査を受けることが大切だというお話でした。
今週は学童期の子どもの眼についてお話をお願いいたします。

藤井智仁Dr: 学童期に入ると、近視になるお子さんが増えます。
文部科学省が公表している平成27年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子どもは増加傾向にあり、小学校で30.97%と過去最高にのぼっています。

二見いすず: それは高い数字ですね。
では、なぜ学童期になると、近視になるお子さんが増えるのでしょうか。

藤井智仁Dr: まず、物が見える仕組みについてご説明しましょう。
物が見えるというのは、眼に入った光が角膜と水晶体で曲げられて、一番奥の網膜でシャープな像を結んで見えるわけです。
近視では、眼の大きさ・眼軸というのですが、これが角膜・水晶体の屈折力よりも長いために、物を見る網膜の手前でピントが合ってしまい、網膜面上でぼやけてしまう状態になります。

二見いすず: そういう仕組みなんですね。

藤井智仁Dr: お子さんは大人に比べて体が小さいのと同じように眼球も小さいです。
体が大きくなるとともに眼球も大きくなっていきます。
しかし、遺伝・環境の要因などで余計に眼球が大きくなると、さきほど言ったような近視の状態になります。

二見いすず: つまり、体が大きくなる成長期は眼の大きさも成長し、その時期にさらに眼球が大きくなることによって近視になりやすいということですね。
それでは、どのような原因で近視になるのでしょうか。

藤井智仁Dr: 学童期の近視には、遺伝要因と環境要因の両方が影響しています。
まず、遺伝要因というのは、両親とも近視のお子さんは、そうでないお子さんに比べて、7〜8倍近視になりやすいことが分かっています。

二見いすず: 一方、環境要因はいかがでしょうか。

藤井智仁Dr: 近くのものを長時間見続けると、近視になりやすくなります。
先ほど言ったように学童期の近視は眼軸の過度の伸びによるものです。
一度大きくなった眼球は、視力のよかった頃の大きさに戻ることはないために、近視も改善することはまずありません。

二見いすず: そうなんですね。

藤井智仁Dr: また、いろいろな眼の病気のせいで視力が悪い場合もありますので、お子さんの視力が落ちた時は必ず眼科を受診して原因を確かめてください。

二見いすず: よくわかりました。
お話は、鹿児島県医師会の藤井智仁(ふじいともひと)ドクターでした。
藤井さん、ありがとうございました。

藤井智仁Dr: ありがとうございました。