二見いすず: | 11月になりました。 今月のドクタートークは、11月14日の世界糖尿病デーにちなみ、「糖尿病」をテーマにお送りしてまいります。 お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。 鎌田さん、どうぞよろしくお願いいたします。 |
鎌田哲郎Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | あらためまして、「糖尿病」とはどのような病気なのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | 糖尿病は、血糖値が異常に高い状態が長く続く事によって、体の血管や神経に障害が起こる病気です。 失明や腎不全からの透析、足の切断、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。 また最近では、がんや認知症の原因としても重要であることも明らかにされています。 |
二見いすず: | いま高齢者の糖尿病が増えているそうですね。 |
鎌田哲郎Dr: | はい。 現在日本の糖尿病患者数は約1070万人と言われ、これは9人に一人の割合ですが、2014年の厚労省のデータでは、70歳以上の男性では4人に一人、女性では6人に一人が糖尿病と報告されています。 |
二見いすず: | なぜ、年齢を重ねると、糖尿病になる人が増えるのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | 2つの理由があります。 一つは、高齢になると、血糖値を下げる働きを持つインスリンというホルモンが食後に素早く出ることが難しくなってきます。 また、糖を消費するのに重要な全身の筋肉の量や質が低下してくることも食後の血糖値を上げます。 食後高血糖が繰り返されると糖尿病になります。 |
二見いすず: | その高齢者の糖尿病には特有の問題があるのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | はい。 高齢者では身体機能、認知機能、合併症の有無など、個人差が大きく、一律に血糖を下げることで問題が生じる場合があります。 特に薬物療法で血糖が下がりすぎる“低血糖”の問題は重要です。 高齢者は低血糖の症状に気付きにくく、重症化してしまうからです。 |
二見いすず: | では、高齢者の糖尿病治療はどのように行われるのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | 今年、日本糖尿病学会と日本老年医学学会で、新たに高齢者の血糖コントロール目標が提示されました。 高齢者の方の状態をしっかり評価した上で、個別にふさわしい血糖コントロール目標を設定しましょうというものです。 |
二見いすず: | なるほど。 |
鎌田哲郎Dr: | 高齢者糖尿病の場合、低血糖を避けながら、食後高血糖を抑えていくことが、非常に重要です。 そのためには、薬物療法の選択もさることながら、食後血糖を上げない食べ方、たとえば野菜を先に食べ、ご飯を最後に食べる食べ方や、食物繊維を多く取る食事が重要であり、また運動も食後血糖を下げるために非常に重要です。 |
二見いすず: | よくわかりました。 今月は糖尿病について、お話を伺ってまいります。 鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
鎌田哲郎Dr: | ありがとうございました。 |