二見いすず: | 今月のドクタートークは、世界糖尿病デーにちなみ、「糖尿病」をテーマにお送りしてまいります。 お話は、鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターです。 鎌田さん、最終週の今日もどうぞよろしくお願いいたします。 |
鎌田哲郎Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 今週は糖尿病の予防と治療に欠かせない食事と運動について教えてください。 |
鎌田哲郎Dr: | まず、食事についての話題をお話します。 最近、若い人や働き盛りの人で、朝食を抜く人が増えていますが、朝食を抜くと、肥満や2型糖尿病のリスクが上がることや、そのメカニズムが近年の研究によって分かってきています。 |
二見いすず: | えっ!朝食を食べないと、肥満や2型糖尿病になるリスクが上がるんですか。 |
鎌田哲郎Dr: | 朝食を食べないことで絶食の時間が長くなると、インスリンの出が悪くなり、昼食や夕食の後の血糖値が上昇しやすくなることが報告されています。 また血糖があがることで、遅れて過剰にインスリンがでるため太りやすくなります。 それが2型糖尿病につながると考えられています。 |
二見いすず: | わかりました。 一方、運動についてはいかがでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | これまでウォーキングなどの有酸素運動が糖尿病では推奨されてきましたが、筋トレの重要性も最近の研究で明らかにされてきています。 筋肉は糖をたくさん消費する重要な臓器です。 運動不足や加齢で筋肉の量や質が低下することは、糖尿病が増える重要な原因の一つです。 |
二見いすず: | 糖尿病の予防と治療には、筋肉を鍛えることが大切だということですね。 では、どんな方法がありますか? |
鎌田哲郎Dr: | 背中の筋肉や骨盤周囲の筋肉など姿勢を制御するところにある筋肉は、遅筋と呼ばれ、脂肪と糖をコンスタントに多く利用する筋肉です。 糖尿病の患者さんでは、この遅筋が減少していることが知られています。 |
二見いすず: | では、その遅筋を増やすためには、どのような運動をするといいのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | ゆっくりしたスクワットや、もも上げ運動、四つん這いでの片足あげ運動などが有効です。 高齢者は下肢や骨盤周囲の筋肉を増やすことで、転倒や骨折を予防する効果もあります。 |
二見いすず: | 有酸素運動と筋トレを両方取り入れる場合は、どちらが先でもいいのでしょうか。 |
鎌田哲郎Dr: | 糖尿病患者さんの場合は筋トレを先に行い、その後に有酸素運動を行った方が、血糖低下も緩やかで運動中の低血糖も起りにくく、また脂肪も効率よく燃えやすいことが報告されています。 運動は継続することが大切です。 ラジオを聴きながら、無理せず、楽しみながら、続けてください。 |
二見いすず: | よくわかりました。 4週にわたり糖尿病について貴重なお話をしていただきました。 お話は鹿児島県医師会の鎌田哲郎(かまだてつろう)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
鎌田哲郎Dr: | ありがとうございました。 |