2017.1.7 第714回放送分 『アルコール関連問題』 ゲスト:壽 幸治ドクター



二見いすず: 2017年がスタートしました。
今月のドクタートークは、「アルコール関連問題」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターです。
壽さん、よろしくお願いいたします。

壽幸治Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今月のテーマは「アルコール関連問題」ですが、ラジオをお聞きの皆様も、年末年始でお酒を飲む機会が多かったのではないでしょうか。
一方、お酒は楽しみたいけれど、健康が気になるという方もいらっしゃると思います。

壽幸治Dr: 鹿児島は焼酎王国と言われ、お酒に関する伝統と文化が生活に深く浸透していますよね。
お酒は人間関係の潤滑油になるなど、いい面もたくさんありますが、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因になってしまいます。

二見いすず: そのアルコール健康障害というのは、どのようなものなのでしょうか。

壽幸治Dr: 平成26年6月に施行されたアルコール健康障害対策基本法によると、アルコール健康障害の定義は、アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害とされています。

二見いすず: アルコールによる心身の健康障害は、不適切な飲酒によって引き起こされるということなんですね。
では、1日あたりの適正な飲酒量とはどれぐらいなのでしょうか?

壽幸治Dr: 厚生労働省が示す指標によると、節度ある適度な飲酒は、1日平均純アルコールで20グラム程度とされています。
これはビールだとロング缶1本500ml程度、25度の焼酎だと0.6合程度になります。

二見いすず: 1日の適正な飲酒量は、ビールだと500ml、25度の焼酎だと0.6合程度だということです。
個人差はあるのでしょうか。

壽幸治Dr: はい。
女性や65歳以上の高齢者、また少量の飲酒で顔が赤くなるなどアルコール代謝力の低い方はより少ない量が適当だとされています。

二見いすず: ところで、未成年者の飲酒は法律で禁止されているだけでなく、将来にわたって影響があると聞いたことがあります。

壽幸治Dr: はい。
未成年者の飲酒は、脳の萎縮や第2次性徴の遅れ、アルコール依存症のリスクの高まりなど、心身の発育への影響が指摘されています。

二見いすず: 妊婦の飲酒はどのような影響があるのでしょうか。

壽幸治Dr: 妊娠中の飲酒は、胎児の脳の発達障害等が起こる胎児性アルコール症候群や発育障害を引き起こすことが指摘されています。
お子さんのためにも妊娠中や出産後の授乳中は、ぜひ飲酒を控えていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お酒を楽しむ時は、節度ある適度な飲酒を心掛けていただきたいということです。
また、飲酒に伴うリスクを正しく理解することが大切だということでした。
来週も引き続きアルコール関連問題について詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターでした。
ありがとうございました。

壽幸治Dr: ありがとうございました。