2017.1.14 第715回放送分 『アルコール関連問題』 ゲスト:壽 幸治ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アルコール関連問題」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターです。
壽さん、今週もよろしくお願いいたします。

壽幸治Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今週はアルコールによる健康障害について、具体的に教えていただけますか。

壽幸治Dr: アルコールによる健康障害の多くは、多量飲酒によって引き起こされます。
節度ある適度な飲酒とは1日平均純アルコールで20グラム程度ですが、それに対して、多量飲酒とは1日平均純アルコール60グラム以上と定義されています。

二見いすず: 節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコール20グラム程度であるのに対して、健康障害を引き起こす多量飲酒は、1日平均純アルコール60グラム以上だということですね。

壽幸治Dr: はい。
ここで言う純アルコール60グラムとは、ビールロング缶3本1500ml、25度の焼酎1.8合程度です。

二見いすず: では、多量飲酒によってどのような健康障害が引き起こされるのでしょうか。

壽幸治Dr: 世界保健機関WHOは、60以上もの病気や外傷がアルコールによって引き起こされていると報告しています。
特に発症頻度の高い代表的な健康障害にはアルコール性肝疾患があげられます。

二見いすず: ほかにも気をつけたい病気はあるのでしょうか?

壽幸治Dr: はい。
アルコールそのものには発がん性があり、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・乳がんの原因になります。
また、大量の飲酒は認知症のリスクを高めるとされています。

二見いすず: アルコール性肝疾患やがん、認知症などのリスクから身を守るためにも節度ある適度な飲酒を守ることが大切ですね。

壽幸治Dr: はい。
ここで鹿児島県民の飲酒習慣のデータをご紹介しましょう。
平成22年の国民健康・栄養調査によると、週3日以上純アルコール20グラム以上を飲酒する男性の割合は、全国平均が35.9%であるのに対して、鹿児島県は40.3%でした。

二見いすず: そうなんですか!

壽幸治Dr: はい。
さらに、1日の飲酒量が純アルコール60グラム以上の多量飲酒者の割合が男女ともに増加しているというデータもあります。

二見いすず: それはちょっと心配です。
鹿児島県は全国平均に比べて、飲酒習慣がある男性が多く、多量飲酒者の割合は男女ともに増加しているということです。

壽幸治Dr: 歌人で随筆家の吉田兼好は徒然草の中で、「酒は百薬の長といへども、よろずの病は酒よりこそ起これ」と述べています。
お酒を百薬の長にするのも、病気の原因にするのも、飲む量や飲み方次第です。
ぜひ県民の皆様には、節度ある適度な飲酒を守っていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターでした。
ありがとうございました。

壽幸治Dr: ありがとうございました。