2017.1.28 第717回放送分 『アルコール関連問題』 ゲスト:壽 幸治ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アルコール関連問題」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターです。
最終週の今日もよろしくお願いいたします。

壽幸治Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週はアルコール依存症はお酒を飲んでいれば誰もがなる可能性がある病気だということをお伺いいたしました。
しかし一方で、アルコール依存症になる人は意志が弱いという誤解や偏見があり、そのことが本人やご家族にアルコール依存症であることを否認させる原因、つまり、そうではないと思ってしまう原因になっているということでした。

壽幸治Dr: はい。そうですね。
ご家族が患者さんを心配し、お酒をやめさせようとして小言を言ったり、怒ったりすることで、かえって症状がひどくなっていくケースもあります。
ですから、アルコール依存症の疑いがあったら、最寄りの保健所や精神保健福祉センター、医療機関などに相談することをおすすめいたします。

二見いすず: わかりました。
医療機関ではどのような治療が行われるのでしょうか。

壽幸治Dr: 入院治療では、まずアルコールによる健康障害や離脱症状の解毒治療を受けてから、認知行動療法・内観療法等のアルコール専門治療を行います。
アルコール依存症の治療は断酒が原則ですが、一緒にお酒をやめる仲間を持つため、入院中に自助グループに参加することをおすすめいたします。

二見いすず: 自分の気持ちを正直に語れる仲間や場所を持つことが治療の手助けになるのですね。

壽幸治Dr: はい。そうですね。
アルコール依存症の治療では、患者さん自らの意志で断酒を決断することと、治療の支えになる身近な人の存在がとても大切です。
家族会もありますので、ぜひ利用していただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
アルコール依存症は患者さんご自身が治療を受け、身近な人たちが断酒に向けた支援を行うことによって、十分に回復しうる病気だということですね。

壽幸治Dr: はい。
アルコール依存症も一般の病気と同様のものであり、不必要に卑下したり、自責感を持つ必要はありません。
また、つらい治療に向き合い、乗り越えた方をきちんと尊敬し、不適切な飲酒を誘発しない社会を形成していくことも必要だと思います。

二見いすず: なるほど。
そうですね。

壽幸治Dr: アルコール依存症をはじめとしたアルコール健康障害を予防するためには、正しい知識を普及することが大切です。
その一環としまして、3月10日、11日、かごしま県民交流センターで第29回九州アルコール関連問題学会鹿児島大会が開催され、3月11日午前9時半から市民公開講座が開かれます。
「アルコール基本法をどう活用するか」というテーマで記念講演やシンポジウムを行いますので、ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の壽幸治(ことぶきゆきはる)ドクターでした。
ありがとうございました。

壽幸治Dr: ありがとうございました。