2017.4.1 第726回放送分 『肥満とメタボ』 ゲスト:西尾 善彦ドクター



二見いすず: 4月になりました。
今月のドクタートークは、「肥満とメタボ」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターです。
西尾さん、よろしくお願いいたします。

西尾善彦Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 今月のテーマは「肥満とメタボ」ですが、まず今週は、気になる肥満についてお話をお願いいたします。

西尾善彦Dr: はい。
肥満とは、体重が多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態を言います。
近年、日本では食生活の欧米化や運動不足から、肥満の人が増えています。

二見いすず: 肥満というのは、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことを言うんですね。
たしかに、同じ体重でも、筋肉質の人と体脂肪が多い人ではまったく違った印象を受けます。

西尾善彦Dr: はい。
標準体重でも、筋肉や骨と比べて脂肪が多い、つまり体脂肪率が高い「隠れ肥満」の人が最近は多く見られます。
体脂肪率は正確な測定が難しいので、あくまでも目安としてですが、肥満と判定されるのは、男性25%以上、女性30%以上です。

二見いすず: よく分かりました。

西尾善彦Dr: 実は、肥満の中でも、悪い太り方と、そうでもない太り方があるんです。

二見いすず: 悪い太り方と、そうでもない太り方、それはどんな違いがあるのでしょうか。

西尾善彦Dr: 体のどこに脂肪がついているかで、健康への影響は大きく異なるんです。
まず、お腹の筋肉内側に脂肪が多く蓄積する「内臓脂肪型肥満」の人は、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などの生活習慣病を発症する可能性が高くなります。

二見いすず: そうなんですか。

西尾善彦Dr: はい。
一方で、腰まわりや太ももなどの下半身を中心に皮下脂肪が多くたまってるものの、内臓脂肪は少ない人を「皮下脂肪型肥満」と言います。
このタイプの人には、生活習慣病の症状はあまり見られません。

二見いすず: つまり、内臓脂肪型肥満は、健康に悪い太り方で、皮下脂肪型肥満は、健康に影響の少ない太り方だということでしょうか。

西尾善彦Dr: はい。そうですね。
皮下脂肪は自分でつまめますけれど、内臓脂肪はつまむことができません。
だから、どれぐらいたまっているかがわかりにくいです。
一見したところ、太っているように見えなくても、お腹がぽっこり出ているという人は、いわゆる隠れ肥満の可能性があります。

二見いすず: 太っていても、痩せていても、お腹がぽっこり出ている人は、内臓脂肪が蓄積されている可能性が高いということなんですね。
同じ脂肪でも、悪い、いいがあるということには驚きました。
来週はその内臓脂肪によって引き起こされるメタボ・メタボリックシンドロームについて詳しくお話をお伺いいたします。
お話は鹿児島県医師会の西尾善彦(にしおよしひこ)ドクターでした。
どうもありがとうございました。

西尾善彦Dr: ありがとうございました。