二見いすず: | 今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りしています。 お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。 西さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。 |
西順一郎Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 今週は、髄膜炎菌感染症のワクチンについてお話いただけるということです。 あまり聞き慣れない病気だと思うのですが、どのような病気なのでしょうか。 |
西順一郎Dr: | 髄膜炎菌感染症は、現在は全国で年間40人程度が感染し、鹿児島県でも今年に入って1人発症しています。 菌を持っている人から飛まつ感染し、血液や髄液などに侵入すると、菌血症や髄膜炎などを引き起こします。 |
二見いすず: | 髄膜炎菌感染症になると、どのような症状が出るのでしょうか。 |
西順一郎Dr: | 症状が急激に進行するのが特徴です。 発熱、意識障害、血圧低下、皮膚の出血などがみられ、発症者の10〜20%が死亡し、適切な治療を受けても20〜30%が神経障害や手足の切断などの後遺症を残します。 |
二見いすず: | 症状が急激に進み、死に至ることもあるとは、とても怖い病気なんですね。 ワクチンの接種が特に推奨されるのはどういった方でしょうか。 |
西順一郎Dr: | 髄膜炎菌感染症は、乳幼児と高齢者に加えて、15歳から20代の若年層に多いのが特徴です。 学校や寮などで集団生活を送る中で感染し、流行するケースがみられます。 国内では2011年に宮崎県の高校の学生寮で5人の患者が出て、1人が死亡するという集団感染がありました。 |
二見いすず: | 学校や職場の寮などで集団生活をしている人は、感染のリスクが高いため、髄膜炎菌感染症の予防接種を受けておいた方がいいということですね。 |
西順一郎Dr: | はい。そうですね。 髄膜炎菌感染症のワクチンは2歳以上であれば任意接種として受けられます。 アメリカでは11歳から18歳にかけて2回接種しています。 日本でも学校や職場の寮などで集団生活を送っている方や、この菌の感染予防に重要な脾臓のない方、また留学等で長期間海外に滞在する方もぜひ受けていただきたいと思います。 |
二見いすず: | せっかくワクチンという予防法があるわけですから、ぜひ接種して感染症から身を守ることが大切ですね。 |
西順一郎Dr: | 髄膜炎菌感染症は、我が国では現在のところ比較的少ないですが、グローバル化が進む現代では、今後感染する機会は確実に増えてくると思います。 まれな感染症ですが、一度かかると命にかかわる重い病気です。 リスクのある方はぜひワクチンで予防していただきたいと思います。 |
二見いすず: | よくわかりました。 4週にわたり、「ワクチン」について貴重なお話をお伺いいたしました。 お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
西順一郎Dr: | ありがとうございました。 |