2017.7.1 第739回放送分 『子どもの心臓病』 ゲスト:上野 健太郎ドクター



二見いすず: 7月になりました。
今月のドクタートークは「子どもの心臓病」について、鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターにお話をお伺いいたします。
上野さん、どうぞよろしくお願いいたします。

上野健太郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今月のテーマは子どもの心臓病ですが、国内の現状について、詳しく教えてください。

上野健太郎Dr: はい。
生まれつき心臓に病気を持つお子さんは、全出生数のおよそ1%・だいたい100人に1人です。
日本では年間1万人を超える心臓病のお子さんが生まれていて、これは決して少ない数ではありません。

二見いすず: お子さんがもし心臓病と診断されたら、ご両親は大変心配なさいますよね。

上野健太郎Dr: 実際、手術が必要なお子さんもいますが、それを乗り越えることによって、心臓病を持って生まれたお子さんのおよそ95%は成人を迎えることができます。
多くの方は仕事に就くこともできますし、およそ90%の女性は妊娠出産もできるようになります。

二見いすず: 子どもの心臓病の多くは治療が可能だということですね。

上野健太郎Dr: はい。そうですね。
心臓病を持って生まれた場合でも、成長とともに自然に治ってしまうお子さんもいます。
また、心臓病を持っていても発育などに影響はなく、定期的に医師にかかって生涯を過ごしていく方も少なくありません。
成人の先天性心疾患の方の多くは自立した生活を送っています。

二見いすず: では、一方、生まれつき心臓に病気を持つお子さんの治療はどのように行われているのでしょうか。

上野健太郎Dr: 心臓の働きが十分ではないために、生まれてすぐに心臓の治療や手術が必要なお子さんもいます。
このような場合、鹿児島県内では、鹿児島大学病院、鹿児島市立病院、鹿児島医療センター、鹿児島生協病院などの総合病院の新生児科、小児循環器科、そして心臓血管外科などがチームとなって診療を行っています。

二見いすず: 地域の専門医の連携が確立されているというのは、大変心強いです。

上野健太郎Dr: 鹿児島県内には、子どもの心臓病の診療ネットワークがあり、出生前診断も進んできていますので、適切なアドバイスをしたり、手術を受ける病院を紹介したりしています。

二見いすず: そうなんですね。

上野健太郎Dr: 心臓の手術は長い入院が必要ですし、手術後も状態がよくなるまでに時間がかかることが少なくありません。
しかし、近年、手術成績は劇的に向上し、非常に重症な心臓病でも手術をして症状が軽くなることが多くなりました。
ぜひ安心して手術・治療を受けていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
来週も子どもの心臓病について伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

上野健太郎Dr: ありがとうございました。