2017.7.8 第740回放送分 『子どもの心臓病』 ゲスト:上野 健太郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの心臓病」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターです。
上野さん、今週もよろしくお願いいたします。

上野健太郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 先週は、生まれつき心臓病を持つお子さんは、全出生数のおよそ1%、100人に1人いるというお話をお伺いいたしました。
中には生まれてすぐに手術が必要なお子さんもいらっしゃるということでしたが、近年、手術成績は劇的に向上し、心臓病を持って生まれたお子さんのおよそ95%は成人を迎えられるようになり、およそ90%の女性は妊娠出産もできるようになったということでしたね。

上野健太郎Dr: はい。そうですね。
日本では2000年頃から生まれつき心臓病を持つお子さんの数を成人の数が上回るようになりました。
成人の先天性心疾患の方の多くは自立した生活を送っています。

二見いすず: 今週は子どもの心臓病の出生前診断についてお話をお願いいたします。

上野健太郎Dr: はい。
出生前診断とは、赤ちゃんが生まれる前に先天性の心臓病が疑われ、診断されることをいいます。
出生前診断は進んでいて、現在、多くの病気がお母さんのお腹の中にいる間に診断可能となってきました。

二見いすず: そうですか。
では、出生前診断はどのようにして行うのでしょうか。

上野健太郎Dr: 心臓の出生前診断は、超音波検査による画像診断です。
妊娠16週以降、できれば18週から20週頃にみてもらうのがいいといわれています。

二見いすず: わかりました。
では、出生前診断には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

上野健太郎Dr: 先天性の心臓病の多くは軽症ですが、中には出生後すぐに治療しなければ状態が悪くなる重症の心臓病もあります。
赤ちゃんにとって苦しい症状が生まれるまで分からず、病気の診断が遅れれば、命を救うことができないケースもあります。

二見いすず: 生まれつき心臓病を持つ赤ちゃんの命を守るためには、出生前診断が重要だということですね。

上野健太郎Dr: はい。
赤ちゃんの全身状態が悪くなってしまってからの緊急手術は救命率が下がります。
もし生まれる前に診断がついていたら、状態が悪くなる前に心臓の手術が可能な病院へ運んで手術を行うことができますので、救命率も上がります。

二見いすず: なるほど。

上野健太郎Dr: 出生前診断は、心臓病を持って生まれてくる赤ちゃんの健康の向上や適切な医療環境・養育環境を提供することにつながります。
また、ご両親も心臓病に対する心構えをしっかり持って生まれてくるお子さんを迎えられることになります。

二見いすず: よくわかりました。
来週も子どもの心臓病について伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

上野健太郎Dr: ありがとうございました。