2017.7.15 第741回放送分 『子どもの心臓病』 ゲスト:上野 健太郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの心臓病」をテーマにお送りしております。お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターです。
上野さん、今週もよろしくお願いいたします。

上野健太郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は、学校心臓検診について、お話をお願いいたします。

上野健太郎Dr: はい。
日本では、小学校、中学校、高等学校に入学した新1年生は、4月から5月にかけて学校心臓検診を受けることが学校保健法という法律で決められています。

二見いすず: この学校心臓検診はどのような目的で行われているのでしょうか。

上野健太郎Dr: 学校心臓検診は、進学で環境が変わる節目に、学校生活、特に運動や部活動を行うことで問題となる可能性のあるお子さんを発見すること、心臓病の発見や早期診断によって適切な治療と日常生活の指導を行い、心臓病による学校での突然死を防ぐこと、生涯を通じてできるだけ健康な生活を送ることができるようお子さんを援助することを目的としています。

二見いすず: わかりました。
学校心臓検診は、どのように行われているんですか。

上野健太郎Dr: まず、問診表の確認や学校医の診察、心電図検査を行う一次検診が行われます。
その中でさらに詳しい検査が必要だと判断されたお子さんは、専門医の診察や心エコー検査、運動負荷検査などの精密検査を行う二次検診を受けることになります。

二見いすず: 学校心臓検診では、まず問診票が必要だということですが、ご家庭で問診票を記入するときには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。

上野健太郎Dr: 問診表には、これまで心臓が悪いと言われたことがないか、心臓の病気で突然死をされたご家族がいないかなどを確認する項目があります。
問診票は医師が心電図をみる上で参考になる重要な情報となります。
この問診票の情報と心電図によって二次検診が必要かどうか判断されますので、ご家族の方にはもれなく記入し、提出していただくことをお願いしたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
学校心臓検診について、問診票の提出以外にも保護者が心掛けておきたいことはありますか。

上野健太郎Dr: 学校心臓検診では二次検診まで受けたお子さんでも、多くは異常がないか、軽症であり、運動制限や手術が必要になるお子さんはほんの一部です。
しかし、少数ではありますが、運動で突然死の危険があると診断されるお子さんもいらっしゃいます。

二見いすず: そうなんですね。

上野健太郎Dr: 学校心臓検診は、世界に類をみない、日本が誇るシステムです。
保護者の方々には、学校心臓検診の意義についてご理解いただき、ご協力いただければと思っております。

二見いすず: 今日は学校心臓検診についてお話いただきました。
来週も子どもの心臓病について伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

上野健太郎Dr: ありがとうございました。