二見いすず: | 今月のドクタートークは「子どもの心臓病」をテーマにお送りしております。 お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターです。 上野さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。 |
上野健太郎Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 今週は、お子さんに多い川崎病についてお話いただけるということです。 川崎病というのはどのような病気なのでしょうか。 |
上野健太郎Dr: | 川崎病は、全身の血管が熱を持ち腫れて痛む血管炎に分類される病気で、特に4歳以下の乳幼児に多く見られます。 現在、日本では年間1万5千人以上の患者数があり、年々増加しています。 |
二見いすず: | この川崎病は心臓にも影響があるのでしょうか。 |
上野健太郎Dr: | 川崎病になると、心臓に血液を送る冠動脈の壁が炎症で傷んで膨らみ、冠動脈瘤と呼ばれる後遺症が残ることがあります。 その冠動脈瘤に血栓ができて詰まると、心筋梗塞を発症することがあるので、定期的な検査や治療が必要になります。 |
二見いすず: | それは心配ですね。 |
上野健太郎Dr: | 川崎病の後遺症の合併率は20年以上前はおよそ20%もありましたが、現在は治療法の進歩によって3%程度まで減少しました。 後遺症なく治った場合はその後の生活に支障がないことが多いです。 |
二見いすず: | 川崎病になると、どのような症状がみられるのでしょうか。 |
上野健太郎Dr: | 川崎病には6つの主要な症状があります。 1つ目は「5日以上ある発熱」、2つ目は「両側の眼球結膜の充血」、3つ目は「くちびるの赤み、いちご舌」、4つ目は「発疹」、5つ目は「手足のむくみ」、6つ目は「化膿していない首のリンパ節の腫れ」です。 この6つの症状のうち5つ以上がある場合、川崎病と診断されます。 |
二見いすず: | わかりました。 治療はどのように行われるんですか。 |
上野健太郎Dr: | 最も効果的とされている治療法は、免疫グロブリンの点滴です。 これによっておよそ80%の患者さんは2日以内に解熱します。 |
二見いすず: | そうですか。 |
上野健太郎Dr: | 最近では重症が予測される患者さんには副腎皮質ステロイドという薬を同時に投与することが多くなってきました。 これにより解熱が早まり、冠動脈瘤の合併症はさらに少なくなってきています。 |
二見いすず: | 複数の治療法を組み合わせることにより、合併症が防げるようになったということですね。 |
上野健太郎Dr: | はい。 診断・治療ともに年々進歩していますので、気になる症状がある方は、ぜひ医療機関にご相談ください。 |
二見いすず: | よくわかりました。 5週にわたり、「子どもの心臓病」について貴重なお話をお伺いいたしました。 お話は鹿児島県医師会の上野健太郎(うえのけんたろう)ドクターでした。 どうもありがとうございました。 |
上野健太郎Dr: | ありがとうございました。 |