2017.8.5 第744回放送分 『熱中症』 ゲスト:有嶋 拓郎ドクター



二見いすず: 8月になりました。
今月のドクタートークは「熱中症」について、鹿児島県医師会の有嶋拓郎(ありしまたくろう)ドクターにお話をお伺いいたします。
有嶋さん、どうぞよろしくお願いいたします。

有嶋拓郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今月のテーマは熱中症ですが、そもそもなぜ熱中症は起こるのでしょうか。

有嶋拓郎Dr: はい。
人間の体には、もともと体温を一定に保とうとする働きがあります。
外気温や室温の高さの影響で体温が上がると、通常は自律神経の働きによって血管が拡張して、皮膚に多くの血液が流れ込むことによって体の表面から熱を放散していきます。

二見いすず: わかりました。

有嶋拓郎Dr: また、汗が蒸発する時にも皮膚の表面から熱が奪われる気化熱を利用して体温が下がっていきます。

二見いすず: 汗が出るというのは大切なことなんですね。
なるほど。

有嶋拓郎Dr: しかし、体温の上昇と調節機能のバランスが崩れてしまうと、体は効率的に熱を放出できなくなり、熱中症になってしまいます。
熱中症を引き起こす要因としては、環境要因、身体的要因、行動要因の3つがあります。

二見いすず: わかりました。
ではまず、熱中症を引き起こす環境要因とは、どのようなものなのでしょうか。

有嶋拓郎Dr: 外気温が高い、湿度が高い、日差しが強い、風が弱いなどの自然の条件がまずあります。
人為的な条件としては、締め切った屋内、エアコンのない部屋などがあります。
特に体がまだ暑さになれていない時期に急に気温が上がった場合には、注意が必要です。

二見いすず: よくわかりました。
次に身体的要因について教えてください。

有嶋拓郎Dr: 身体的要因としては、高齢者、乳幼児、肥満の方、精神疾患や糖尿病、リウマチなどの持病のある方は暑さに弱いことが知られています。
また、体調がすぐれない方、寝不足の方も熱中症にかかりやすいと言われています。
実際、熱中症にかかった人を診察していますと、朝食を食べていない人がしばしば見られます。
これは、体調不良、寝不足と重複していることが多いという印象があります。

二見いすず: 最後に行動要因についてはいかがでしょうか。

有嶋拓郎Dr: 激しい運動、炎天下での長時間の作業、水分補給がしにくい状況は、熱中症のリスクを高めます。

二見いすず: 気温や湿度が高い時、体調が悪い時は、炎天下での長時間の作業や運動を控えるという心掛けも大切ですね。

有嶋拓郎Dr: はい、そうですね。
汗をかきたくないからと、水を飲まないという方がいらっしゃいますが、それはよくありません。
熱中症は自分で防げる病気ですから、ぜひ予防を心掛けていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の有嶋拓郎ドクターでした。
ありがとうございました。

有嶋拓郎Dr: ありがとうございました。