2017.12.2 第761回放送分 『肺の病気 COPD』 ゲスト:井上 博雅ドクター



二見いすず: 12月になりました。
今月のドクタートークは、「COPD」をテーマにお送りいたします。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターです。
井上さん、どうぞよろしくお願いいたします。

井上博雅Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今月のテーマの「肺の病気 COPD」ですが、聞きなれない病気だと思った方もいらっしゃるかもしれません。
あらためて、COPDとはどのような病気なのでしょうか。

井上博雅Dr: COPDは、日本語では慢性閉塞性肺疾患といいます。
以前は、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた病気をまとめて、現在ではCOPDと呼びます。

二見いすず: そうなんですね。

井上博雅Dr: COPDになると、気管支に炎症がおきて、気管支が腫れることによって、空気の通り道が狭くなります。
また、気管支が枝分かれした奥にあるスポンジの様な肺胞がこわれて、スカスカの肺気腫になると、酸素を取り込むことができずに、息切れ、咳や痰などの症状があらわれます。

二見いすず: 原因はなんでしょうか。

井上博雅Dr: COPDの最大の原因は、長年のタバコです。
喫煙者の約2割はCOPDになってしまいます。
また、近年は受動喫煙、すなわちタバコを吸う人の周りの方のタバコの煙の被害が問題になっています。

二見いすず: 日本ではCOPDになる人が多いのでしょうか。

井上博雅Dr: 2015年の調査では、喫煙者の割合は、18.2%です。
いまだ喫煙率が高く、今後さらに患者数が増えることが懸念されています。

二見いすず: それはちょっとこわいですね。

井上博雅Dr: 実は、2016年の人口10万人あたりの死亡者数をみると、鹿児島県のCOPDによる死亡率は全国ワースト2位でした。

二見いすず: えっ、そうなんですか。
残念ですね。

井上博雅Dr: はい、非常に残念ですね。
日本人の40歳以上の12人に一人がCOPDで、COPDの患者数は530万人と推定されています。
ところが、国の調査によると、クリニックや病院でCOPDと診断された患者さんは約26万人です。
診断されていないCOPDの方は500万人以上いると推定されます。

二見いすず: 多くの人々がCOPDであることに気付いていない、またはきちんと診断されていないということなんですね。

井上博雅Dr: この病気は、早く治療を開始することで悪化を防ぐことができますが、まだ広く知られていないために、診断・治療を受けていない人がたくさんいるということが問題です。
まずは、皆さんにCOPDという名前を覚えていただいて、この病気について正しく知っていただきたいと思います。

二見いすず: よくわかりました。
来週も引き続きCOPDについて詳しく伺ってまいります。
お話は鹿児島県医師会の井上博雅(いのうえひろまさ)ドクターでした。
ありがとうございました。

井上博雅Dr: 失礼しました。