二見いすず: | 今月のドクタートークは、「アルコール関連問題」をテーマにお送りしております。 お話は鹿児島県医師会の竹元隆英(たけもとたかひで)ドクターです。 竹元さん、今週もよろしくお願いいたします。 |
竹元隆英Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 今週はアルコールによる健康障害について、具体的に教えていただけますか。 |
竹元隆英Dr: | アルコール健康障害の多くは、多量飲酒によって引き起こされます。 1日あたりの適切な飲酒量は純アルコールで20グラム程度ですが、それに対して、多量飲酒とは1日あたり純アルコール60グラム以上とされています。 |
二見いすず: | 繰り返しになりますが、1日あたりの適切な飲酒量は純アルコール20グラム程度であるのに対して、多量飲酒はその3倍、1日あたり純アルコール60グラム以上だということですね。 |
竹元隆英Dr: | はい。 純アルコール60グラムとは、ビールだと中瓶またはロング缶3本1500ml、25度の焼酎だと1.8合程度です。 焼酎の一升瓶が5、6日で空になります。 1週間ももたない状態です。 |
二見いすず: | なるほど。 では、多量飲酒によって、どのような健康障害が引き起こされるのでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | 若年者、女性、高齢者、飲酒後に顔が赤くなるタイプの人でリスクが高いのが、急性アルコール中毒です。 急性アルコール中毒は飲酒により意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態になります。 特に大学生や新社会人は一気飲みをさせられ、死に至るケースが毎年発生しております。 |
二見いすず: | もし、周囲に急性アルコール中毒が疑われる人がいる場合は、救護はどうしたらいいのでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | 衣服をゆるめてラクにして、体温低下を防ぐため、毛布などをかけて暖かくしましょう。 嘔吐物で窒息をしないように横向きに寝かせて、吐きそうになったら抱き起こさずに横向きの状態で吐かせるようにしてください。 また、呼びかけても反応がない、体が冷たい、呼吸状態が不安定などの兆候があらわれたら、すぐに医療機関を受診させましょう。 |
二見いすず: | わかりました。 ほかにも多量飲酒によって引き起こされる病気はありますか? |
竹元隆英Dr: | 発症頻度の高い代表的な健康障害にアルコール性肝疾患があげられます。 アルコール性肝炎や肝硬変のほか、アルコールそのものに発がん性があり、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・乳がんなどの原因になります。 また、長年の多量の飲酒は、脳の萎縮つまり脳が縮んでしまうアルコール性認知症のリスクを高めます。 |
二見いすず: | そうですか。 病気のリスクから身を守るためにも、1日あたりの適切な飲酒量を守ることが大切ですね。 |
竹元隆英Dr: | はい。そうですね。 適切な飲酒量を守りながら、「一気飲みはしない」、「ゆっくり楽しく飲む」、「週2日か、せめて週に1日は休肝日をもうける」といったことにも気をつけていただきたいと思います。 |
二見いすず: | よくわかりました。 鹿児島県医師会の竹元隆英(たけもとたかひで)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
竹元隆英Dr: | ありがとうございました。 |