二見いすず: | 今月のドクタートークは、「アルコール関連問題」をテーマにお送りしております。 お話は鹿児島県医師会の竹元隆英(たけもとたかひで)ドクターです。 竹元さん、よろしくお願いいたします。 |
竹元隆英Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 今週はアルコール依存症について、お話をお願いいたします。 |
竹元隆英Dr: | まず、アルコール依存症とは、アルコールを繰り返し多量に摂取した結果、アルコールなしではいられなくなってしまい、精神および身体的機能、そして社会的機能が持続的あるいは慢性的に障害されている状態をいいます。 あらゆるものを失う病気です。 |
二見いすず: | このアルコール依存症は、お酒を飲む人なら誰もがかかる可能性のある病気だと聞いたことがあります。 |
竹元隆英Dr: | はい。 老若男女を問わず、長期間多量に飲酒すれば、誰でもアルコール依存症になる可能性があります。 また、アルコール依存症は、ただ単に個人の性格や意志によるものではなく、精神疾患だと考えられています。 |
二見いすず: | いま、アルコール依存症の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | アルコール依存症の患者数は約109万人にのぼり、国民の100人に1人はアルコール依存症で苦しんでおられます。 一方、アルコール依存症の専門的な治療を受けている人は4万人程度とされ、これは依存症の方の全体の20分の1にも満たない数なんです。 |
二見いすず: | そうですか。 では、アルコール依存症になると、どのような症状があらわれるのでしょうか。 |
竹元隆英Dr: | 飲酒をやめたり、量を減らしたときに、手足のふるえや発汗、イライラ、不眠などの離脱症状・俗に言う禁断症状が出るとか、耐性ができて以前より飲酒量を増やさなければ酔えなくなる、などが挙げられます。 また、精神障害として怒りっぽくなる、自己中心的になる、不安やうつ病、認知症などがあり、身体障害として先週お話した肝疾患やがん、そして社会的障害として学業や仕事、趣味が続けられなくなったり、飲酒運転、さらに人間関係がうまくいかなくなったりします。 |
二見いすず: | 気になる兆候があったら、早めに医療機関を受診していただきたいですね。 |
竹元隆英Dr: | アルコール依存症は、お酒を飲む人なら誰もがなる可能性がありますが、本人の意志が弱い、あるいは根性が足りないから依存症になったという誤解や偏見があります。 この誤解や偏見は本人やご家族にアルコール依存症を否認、つまり現実から目を逸らしたり隠したりする原因になっており、治療、回復、社会復帰の障害になっています。ぜひ、みなさんにはアルコール依存症について正しく知っていただきたいと思います。 |
二見いすず: | よくわかりました。 今週はアルコール依存症についてお話をしていただきました。 鹿児島県医師会の竹元隆英(たけもとたかひで)ドクターでした。 ありがとうございました。 |
竹元隆英Dr: | ありがとうございました。 |