2018.3.31 第778回放送分 『アレルギー性鼻炎』 ゲスト:上野 員義ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは、「アレルギー性鼻炎」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターです。
上野さん、最終週の今日もよろしくお願いいたします。

上野員義Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は花粉症の免疫療法についてお話をお願いいたします。

上野員義Dr: 花粉症などのアレルギー性鼻炎は、アトピー体質が関係しますので、残念ながら一度発症すると、自然治癒は期待できません。
しかし、スギ花粉症に対しては、アレルゲン免疫療法という根本治療があります。
アレルゲン免疫療法は、アレルギーの原因であるアレルゲンを少しずつ投与することで、アレルギー反応を起こしにくい体に根本から変えていく治療法です。

二見いすず: そのアレルゲン免疫療法というのは具体的にどのような治療なのでしょうか。

上野員義Dr: 口の中・舌の裏側にアレルゲン治療薬を滴下・たらす舌下免疫療法という治療法があります。
注射のような痛みがなく、重篤な副作用もほとんどみられませんので、自宅で行うことができます。

二見いすず: そうなんですか。

上野員義Dr: 現在、スギ花粉症とダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法に健康保険の適応が認められています。
最初の服用は医療機関で行いますが、その後は自宅で1日1回少量から服用をはじめ、徐々に増量し、その後は決められた一定量を3年から5年にわたり継続して服用します。

二見いすず: スギ花粉症の人なら誰もが舌下免疫療法を受けられるのでしょうか?

上野員義Dr: スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉症と確定診断された12歳以上の患者さんが対象です。

二見いすず: 治療を始める時期などの注意点はありますか?

上野員義Dr: 治療開始時期は、スギ花粉が飛散していない時期に限られます。
そのため、6月から10月の治療開始をおすすめしています。

二見いすず: 花粉シーズンやシーズンの直前でなく、夏から秋に治療を始めるのですね。

上野員義Dr: はい。
一定量のアレルゲンを長期間投与するため、治療は3年から5年と長く続けることが大切です。

二見いすず: 自宅でできる治療だからこそ、正しく治療が行われていることを確認するためにも、定期的な受診が必要ですね。

上野員義Dr: はい。そうですね。
アレルギー性鼻炎の治療の選択肢は、よりいっそう広がっています。
耳鼻咽喉科専門医と相談しながら、体質や症状の強さ、ライフスタイルに合わせた治療法を選択されるのが望ましいと思われます。
花粉症かな?アレルギーかな?と思ったら、症状がひどくなる前に、ぜひお近くの耳鼻咽喉科を受診されてください。

二見いすず: よくわかりました。
5週にわたり、アレルギー性鼻炎について貴重なお話をお伺いいたしました。
お話は鹿児島県医師会の上野員義(うえのかずよし)ドクターでした。
ありがとうございました。

上野員義Dr: ありがとうございました。