2018.5.5 第783回放送分 『ワクチン』 ゲスト:西 順一郎ドクター



二見いすず: 5月になりました。
今月のドクタートークは「ワクチン」について、鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターにお話をお伺いいたします。
西さん、どうぞよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: さて、いま麻しん・はしかの流行が話題になっています。
今週はこのはしかを予防できる、麻しん・風しん混合ワクチンについて、お話をお願いいたします。

西順一郎Dr: 3月下旬から沖縄県を中心に、麻しんの感染者が急増しています。
台湾からの旅行者が感染源となり、その旅行者と接触した人に感染が広がりました。
沖縄県によると、4月26日までの患者数は計71人にのぼり、また愛知県や福岡県にも患者が広がっています。

二見いすず: 麻しんとはどのような病気なのでしょうか。

西順一郎Dr: 麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。
感染経路は、空気感染で、その感染力は非常に強いのが特徴です。
免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症します。

二見いすず: 発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか。

西順一郎Dr: はじめに発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。
その後、発疹が出て、さらに高熱が数日続きます。
ほとんどは自然に治りますが、子どもは肺炎、大人は脳炎といった合併症になることもあり、患者の1000人に1人が死亡するといわれています。
予防法は、ワクチンを接種することしかありません。

二見いすず: 肺炎や脳炎という合併症を避けるためにも、ワクチンを接種することが大切だということですね。

西順一郎Dr: はい。
麻しん・風しん混合ワクチンは定期接種になっており、1歳児と小学校入学前1年間の2回接種です。
2回接種することで、しっかりとした免疫をつけることができます。

二見いすず: ワクチンを2回接種することにより、麻しんだけでなく、風しんも予防することができるんですね。

西順一郎Dr: そうです。
風しんは3日ばしかとも言われ、それほど重篤な病気ではありませんが、免疫のない女性が妊娠中に風しんにかかると、風しんウイルスが胎児に感染して、先天性風しん症候群といって新生児に障がいを引き起こすことがあります。
この先天性風しん症候群を予防するためには、妊婦だけではなく、妊婦のまわりの人たちも免疫を獲得しておく必要があります。

二見いすず: 大人でも麻しん・風しん混合ワクチンを受けることはできるのでしょうか。

西順一郎Dr: はい。
これまでに麻しん・風しんにかかったことがはっきりせず、予防接種を2回受けていない場合は、大人の方でも任意接種としてワクチンを受けることができます。
沖縄や海外に旅行する方は、ぜひ接種をおすすめします。
また、1歳児と小学校入学前の定期接種も大事です。
流行がみられる今のうちに早めの接種をお願いします。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。