2018.5.19 第785回放送分 『ワクチン』 ゲスト:西 順一郎ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「ワクチン」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターです。
西さん、今週もよろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は、ワクチンの追加接種の重要性についてお話をお願いいたします。

西順一郎Dr: ワクチンは、感染症を予防するために最も効果的な方法の一つです。
BCGのように1回ですむワクチンもありますが、多くのワクチンは2回以上接種し、初回免疫と追加免疫をつける必要があります。
初回免疫をつけるものを初回接種、追加免疫をつけるものを追加接種といいます。

二見いすず: ワクチンには、初回接種と追加接種があるということですね。

西順一郎Dr: はい。
特に乳幼児期のワクチンは複数回の接種が必要ですが、最後に実施する追加接種を確実に行うことで、十分な免疫効果が期待できます。
これをブースター効果といい、追加接種を受けることによって、高い免疫が長期間維持されます。

二見いすず: つまり、ワクチンは初回接種を受けただけでは、期待される効果を十分に得ることができないということなんですね。

西順一郎Dr: そのとおりです。
初回接種を受けただけでは、効果が1年も持続しないこともあります。

二見いすず: それは非常にもったいないですね。

西順一郎Dr: 追加接種は初回接種から期間があくため、忘れられがちです。
実際にワクチンの接種率を見てみると、初回接種に比べて、追加接種の接種率が低くなっています。

二見いすず: そうなんですか。

西順一郎Dr: 平成28年の鹿児島県の麻しん・風しん混合ワクチン接種率をみると、第1期は96.7%と高いですが、就学前の第2期が90.6%と、残念ながら全国47都道府県でワースト2位の接種率でした。
また、ヒブ・肺炎球菌ワクチンや4種混合ワクチンも1歳での追加接種率が初回に比べて5%ほど低下しています。
小学校で受ける追加の2種混合や日本脳炎ワクチンの接種率にいたっては70%と低い状況です。

二見いすず: それはとても残念なことです。
追加接種率向上のために、できることはありますか?

西順一郎Dr: 保護者の皆さんは、医療機関を受診する際は母子手帳を持参して、医師やスタッフの方に「ワクチンチェックをお願いします」と一声かけてみてください。
不十分なところを指導してくれると思います。
また、自治体によっては、予防接種台帳をもとに、未接種者の確認と個別通知を行っているところもあります。
こうした取り組みをさらに広げていただきたいと思います。

二見いすず: 他にも注意しておきたいことはありますか?

西順一郎Dr: グローバル化が進み、海外渡航が多くなるこれからの時代は、成人も自分のワクチン接種歴を把握しておく必要があります。
ご自分の母子手帳のワクチンのページをコピーし、ぜひ手元に保管しておいてください。

二見いすず: よくわかりました。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎(にしじゅんいちろう)ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。