2018.12.8 第814回放送分 『肺がん』 ゲスト:水野 圭子ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「肺がん」をテーマにお送りしております。
お話は鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターです。
水野さん、今週もよろしくお願いいたします。

水野圭子Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今週は肺がんの検査についてお話をお願いいたします。

水野圭子Dr: 肺がんの疑いがある場合は、まずいつからどのような症状があったか、今までどのような病気にかかったことがあるか、煙草を吸うか、家族に肺の病気や癌にかかった人がいるか、などの問診により症状を確認し、診察が行われます。
その後、必要な検査を実施しますが、さまざまな検査がありますので、医師とよく相談して検査を進めていくことが大切です。

二見いすず: その検査方法について、詳しく教えてください。

水野圭子Dr: まず行われる検査は、胸部エックス線検査です。
胸部レントゲン検査ともいわれます。
市町村や職場などの検診で受けられている方も多いと思います。

二見いすず: はい。
私も毎年受けております。

水野圭子Dr: 胸部エックス線検査は簡単に行うことができて、腫瘍の位置がわかることが利点です。
しかし腫瘍が小さい場合、だいたい2cm未満の場合はエックス線検査で見つけることは困難です。
また骨や心臓の後ろにある腫瘍の場合は、死角になってしまい胸部エックス線検査では写りにくくなります。

二見いすず: そうなんですね。

水野圭子Dr: たばこを吸う習慣のある方は、胸部エックス線検査と一緒に、喀痰(かくたん)細胞診を行うことがあります。
喀痰細胞診は、痰を採取して、痰にがん細胞が混じっているかどうかを顕微鏡で確認する方法です。
喫煙者に多いとされる、気管支の太い部分にできる扁平上皮癌などは、この検査で見つかることが多いと言われています。

二見いすず: 現在は禁煙していても、過去にたばこを吸っていた人は喀痰細胞診を受けられるのでしょうか。

水野圭子Dr: 喀痰細胞診の対象となるのは、50歳以上で喫煙指数が600以上の方です。
喫煙指数とは、1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた数字です。
たとえば、1日20本を30年吸い続けていると600になります。
過去にたばこを吸っていた方も対象になりますので、喫煙指数が600以上の方は喀痰細胞診を受けられることをお勧めします。

二見いすず: よくわかりました。

水野圭子Dr: 胸部エックス線検査や喀痰細胞診ではわからない肺の奥にできるがんや、小さながんを発見できるのが、低線量CT検査です。
CTでは死角になる部分が少なく、淡い肺の陰影や小さな病変も発見できるという利点があります。

二見いすず: 低線量のCTでしたら、放射線による被ばくもできる限り抑えられますね。

水野圭子Dr: はい。そうです。
通常のCTの約1/10の被ばく量と言われています。
現在、鹿児島県では低線量CTによる肺がん検診費用の一部助成を行っています。
県内在住の50歳以上の方が対象となります。
自己負担額は5250円ですが、年度末までの定員が決められていますので、ご注意下さい。
詳しくは県のくらし保険福祉部健康増進課にお問い合わせいただくか、県のホームページでご確認ください。

二見いすず: 鹿児島県医師会の水野圭子(みずのけいこ)ドクターに伺いました。
ありがとうございました。

水野圭子Dr: ありがとうございました。