二見いすず: | 今月のドクタートークは、10月10日の「目の愛護デー」にちなみ、 「眼科疾患」をテーマにお送りしています。 お話は、鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターです。 鵜木さん、よろしくお願いいたします。 |
鵜木一彦Dr: | よろしくお願いします。 |
二見いすず: | 先週から日本人の失明原因の第一位である「緑内障」についてお話を伺っていますが、そもそも、緑内障はなぜ起こるのか、その原因を教えていただけますか? |
鵜木一彦Dr: | はい。 多くの緑内障は、いくつかの理由により眼圧が上がることで目の底にある視神経や網膜が圧迫され、障害を受けることによって発症します。 |
二見いすず: | 眼圧が上がるというのは、どういうことなのでしょうか。 |
鵜木一彦Dr: | 眼圧というのは、目の硬さのことなのですが、風船をイメージしていただけばわかりやすいかなと思います。 風船がパンパンに膨らむと、硬くなりますよね?これが、眼圧が高くなった状態と考えてみてください。 |
二見いすず: | なるほど。 風船のように膨らんだ眼球で目の底にある視神経や網膜が圧迫され、障害が起こってしまうということなんですね。 眼圧の高さが緑内障の主な原因ということでしょうか。 |
鵜木一彦Dr: | 一方、眼圧が正常値であるにもかかわらず、緑内障を発症する場合もありまして、これは「正常眼圧緑内障」と呼ばれています。 |
二見いすず: | 眼圧は正常値なのに、なぜ緑内障になってしまうのでしょうか? |
鵜木一彦Dr: | 原因はまだはっきりわかっていませんが、もともと視神経や網膜が障害されやすく、眼圧に弱い可能性があります。 そのため、眼圧は正常値であっても、少し眼圧が上昇しただけで視神経や網膜が障害を受けやすい状態にあると考えられます。 |
二見いすず: | そうなのですね。 そうしますと、正常眼圧緑内障は、緑内障全体の中では珍しいケースということでしょうか? |
鵜木一彦Dr: | いえ、そうではありません。 最近の疫学調査の結果、日本人は眼圧が高いタイプの緑内障より、眼圧が正常なタイプの緑内障の人がはるかに多いということがわかってきました。 |
二見いすず: | 日本人では、眼圧が高い緑内障よりも眼圧は正常なタイプの緑内障がはるかに多いのですね。 正常眼圧緑内障は、緑内障の種類としては、慢性と急性のどちらに分類されるんでしょうか? |
鵜木一彦Dr: | 正常眼圧緑内障は、自覚症状がほとんどない慢性タイプになります。 眼圧も正常値の範囲なので、眼圧の検査だけではわかりません。 病院できちんとした検査を受けない限り、発見するのが難しいタイプの緑内障と言えます。 |
二見いすず: | そもそも、緑内障という病気自体、自分で気づくことが難しく、眼科で検査をしてもらわないとわからない場合がほとんど、ということでしたね。 そこで、次回は緑内障の検査について詳しく教えていただきます。 お話は鹿児島県医師会の鵜木一彦(うのき かずひこ)ドクターでした。 鵜木さん、ありがとうございました。 |
鵜木一彦Dr: | ありがとうございました。 |