2020.5.16 第889回放送分 『食中毒』3回目 ゲスト:川村 英樹ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「食中毒」をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の川村 英樹(かわむら ひでき)ドクターです。
川村さん今日もどうぞよろしくお願いいたします。

川村英樹Dr: よろしくお願いします。

二見いすず: 今日はどのようなことについてお話いただけますでしょうか?

川村英樹Dr: 食中毒になった場合の症状についてお伝えいたします。

二見いすず: 食中毒の症状というと、つらそうなものばかり思い浮かびますが、まずは代表的な症状から教えてください。

川村英樹Dr: はい。
代表的な症状は、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、血便などで、これらの症状のうち一つだけが出るのではなく、さまざまな症状が複合的に起こることがあります。

二見いすず: 先週お話をお伺いしました、ウイルスが原因による食中毒と、細菌が原因による食中毒では、症状に違いはありますか?

川村英樹Dr: いいえ、おおむね同じような症状であると言えます。
ただ、ひどい血便がある場合は、細菌性の食中毒の可能性が高いです。
血便の有無によって、どの菌を疑うかが変わってきます。

二見いすず: 分かりました。

川村英樹Dr: また、先ほどお伝えした症状の他にも菌血症といって菌が腸管から全身にまわり、体の他の部分にウミができ、その部分の治療が必要になることもあります。

二見いすず: それは怖いですね。

川村英樹Dr: はい。
その他にもO-157などに代表される腸管出血性大腸菌は、子どもだと腎不全を引き起こしたり、大人でも痙攣を引き起こしたりすることがあるので、注意していただきたいです。


二見いすず: 痙攣がおきるということは、だいぶ深刻なのではないでしょうか?

川村英樹Dr: そのとおりです。
痙攣が出ている状態だと、最悪の場合は命に関わることもあるので、このようなケースは一刻も早く医療機関を受診してください。


二見いすず: 食中毒が命に関わることもあるんですね。

川村英樹Dr: はい。
なので、もしかして食中毒かな?と思ったら、早めに医療機関を受診していただくことをおすすめします。
たとえば発熱の症状ですと、「風邪と勘違いして、そのまま自宅で様子をみているうちに、症状が重くなってしまった」ということもあります。
特にお子さんや高齢の方には注意していただきたいです。
また、今問題となっている新型コロナウイルス感染症でも下痢がみられることがあります。
食事を介した感染は報告されていませんが、発熱・下痢に加え呼吸器症状がみられる場合、14日以内に流行地域に訪問した、あるいは周囲に同じような症状の方がいらっしゃった場合は医療機関を受診される前に、電話でご相談ください。

二見いすず: 分かりました。
食中毒の代表的な症状としては、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、下痢、血便などがありますが、これら以外でも腎不全や痙攣などを引き起こすこともあるため、食中毒かもしれないと思ったら、早めに医療機関を受診して頂きたいと思います。
お話は鹿児島県医師会の川村英樹ドクターでした。ありがとうございました。

川村英樹Dr: ありがとうございました。