2003.05.24
第4回放送分『禁煙』ゲスト:村上 直樹ドクター


二見いすず: このコーナーは、鹿児島県医師会の全面的なご協力により、日頃感じている健康や病気に対する疑問や不安に、毎回専門のドクターにアドバイスを頂いております。
今月は「禁煙」をテーマに伺っています。
今日もお話し頂きますのは、鹿児島県医師会の村上直樹(むらかみ なおき)ドクターです。
村上さん、宜しくお願い致します。

村上直樹Dr: 宜しくお願いします。

二見いすず: 4週目の今日はタバコと病気の深刻な関係についてのお話しでしたね。

村上直樹Dr: はい、そうです。
今回は喫煙者本人の健康被害についてお話したいと思います。
タバコを吸わない人と吸う人では、食道癌とか心筋梗塞、これでは大体倍の確率になります。
肺癌で約5倍、喉頭癌(声を出すところの癌)がなんと30倍以上になって非常に病気にかかりやすくなります。
これは言い換えれば、肺癌とか喉頭癌はタバコを吸いさえすれば、自分でかかろうと思ってなれる癌と言えると思います。
WHO世界保健機関では、タバコを「病気の中で予防出来る、最大にして単一の原因」と言っています。

二見いすず: ずいぶんショッキングな数値ですね。

村上直樹Dr: そうですね。
この他に過去に、日本とイギリスでタバコを吸う人と吸わない人の比較をして、大体タバコを1本吸う毎に、その人の寿命が5分ずつ縮み、これを計算し直しますと、1日に1箱ずつ吸っていきますと、1年間では約28日となり、約1ヵ月分短くなるそうです。
これを言い換えると、12年毎に1年分の寿命を煙と共に消しているということになるんですね。

二見いすず: 12年で1年分ですか!
ちょっともったいないと言うか、ゾッとする数字ですねえ。

村上直樹Dr: そうですね。
これはタバコが原因で引き起こされる病気をタバコ病と言うんですが、これで亡くなる人が、毎年世界で約300万人、日本だけでも約11万人と言われています。
これを交通事故死と比較しますと、交通事故死が年間1万人を超えると深刻な騒ぎになることからしてもこの数字は尋常ではないと思います。

二見いすず: 先生は禁煙に対して、断煙という事を進めていらっしゃるそうですが?

村上直樹Dr: 断煙というのは自分の意志で止めて行こうという事ですね。
これは大人の場合で、子供達は今、卒煙外来というのを静岡のこども病院で始めています。

二見いすず: 卒業するの卒ですか。
断煙と卒煙。
禁煙と言いますと禁止されるというイメージがありますが、断煙ですと自分の意志をもって断つという事になるわけですね。
はい、わかりました。
さて、いよいよ来週は最終週になりますが、来週はどのような話になりますか。

村上直樹Dr: 来週は世界禁煙デー、そして禁煙の実行のコツについてお話します。

二見いすず: 禁煙のコツ、これは聞き逃せませんね!
村上さん、ありがとうございました。
さて、世界禁煙デーにちなんだ、禁煙についての学術講演会が、今月の30日に開催されます。
場所は、西鹿児島駅前のスーパーダイエー8階にあります、鹿児島市勤労者交流センターで、午後6時からです。会費は無料です。
興味のお有ありの方、是非お出かけ下さい。