2003.06.07
第6回放送分『うつ病』ゲスト:竹元 隆洋ドクター


二見いすず: 5月から始まりましたこのコーナーは、生活の中でふと感じる健康や病気に対する疑問や不安に、鹿児島県医師会の専門のドクターにお答え頂きます。
先月の「禁煙」に代わりまして、今月のテーマは「うつ病」です。

今日から4回に渡って「うつ病」についてお話頂きますのは、鹿児島県医師会の竹元隆洋(たけもと たかひろ)ドクターです。
竹元さん、宜しくお願い致します。

竹元さんご専門は精神科ということなんですが、この時期に「うつ病」のお話をして頂くのは何か理由があるんでしょうか?

竹元隆洋Dr: そうですね。
バブルが崩壊してから10年以上も長期に不景気が続いているんですね。
そうしますと、日本人の心の中にも閉塞感が一杯詰まってきて、そして先行き見えない倒産だとか、リストラだとか、借金だとか、そういう状態がずっと続いている。
いま中高年の男性の自殺が非常に増えている、というのが問題なんですね。
平成10年からは年間3万人ぐらい自殺者がいまして、外国と比較してみましても、アメリカ、ドイツよりも2倍ぐらい増えています。
イギリスやイタリアよりも3倍ぐらい増えている、正に非常事態という事です。
それから、鹿児島県でも年間500人ぐらいの自殺者がいます。
しかし、いつ、だれが自殺するのかはわからないですね。
それには原因に「うつ病」があるわけです。
「うつ病」というのは、正に心の病気で、風邪みたいなもので、誰でもなりうるという事なんですね。

二見いすず: その自殺の原因に、「うつ病」というのは、かなり大きく影響しているんですか?

竹元隆洋Dr: そうです。
「うつ病」という病気になりますと、気持ちがめいってしまって死んでしまいたい、
という気持ちが非常に強くなるんですね。
ですから自殺願望というのが「うつ病」の一つの症状として出てくるわけです。
最近はそう言った健康の問題、あるいは経済の問題で多くの人が自殺に追い込まれている、という事態ですけれども、しかし、自分が「うつ病」にかかっているという事が以外に気付かれていないんですね。
特に、家族も全く病気だという事に気付いていない、という事があります。
ここが問題で、自殺した人を調べてみますと、精神科を受診した人は非常に少ないんです。
そのまま放置して、何の治療もしないままに自殺してしまった、というような事です。
「うつ病」について少しでも知識を持って頂いて、自殺に追い込まれる事のないように皆さん心がけて頂きたいと思います。

二見いすず: 今回、そういう事で竹元さんに「うつ病」についてお話をして頂くという事なんですが、やはり、もう人事ではなくて、非常に身近な病気と言えると思いますね。

竹元隆洋Dr: そうですね。
今、非常にストレスの多い時代ですから、脳が疲労して きて、脳の働きが低下して、そしてだんだんとうつ気分になっていくんですね。

二見いすず: 本当に深刻な問題だと思います。
さて、来週はどんなお話になりますでしょうか。

竹元隆洋Dr: 来週は、「うつ病」とはどんな病気であるか、またどんな人がなりやすいかということについてお話したいと思います。