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2023.3.4 第1035回放送分『小児疾患』1回目 ゲスト:今給黎 亮ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「小児疾患」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の今給黎亮(いまきいれ りょう)ドクターです。
今給黎さん、どうぞよろしくお願いいたします。

今給黎亮Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 小児疾患の中から、今日は何について教えていただけますか?

今給黎亮Dr: 今日と来週はアレルギー性鼻炎、主にスギ花粉症について、そして月の後半は気管支喘息についてお伝えします。

二見いすず: 分かりました。
今年は例年と比べて花粉の飛散量が多いと聞いています。

今給黎亮Dr: そうなんです。
すでに実感されたり治療している方もいると思いますが、今年はスギ花粉症の症状が強い方が多いです。
今年発症する人もいるので、去年までは大丈夫だったお子さんでも目のかゆみや鼻の症状に注意が必要です。

二見いすず: だいたい何歳くらいから発症するものなのでしょうか。

今給黎亮Dr: 小学校入学前後から、年々増えていきます。
カゼでの鼻水との区別は難しいので目のかゆみや充血から疑われるケースがあります。

二見いすず: 子どもの花粉症の場合も、大人と同様に、薬が処方されるのでしょうか?

今給黎亮Dr: はい、同じです。
大人と一緒で眠気にも配慮したお薬を処方します。
お薬は、鼻水とかゆみをとめる飲み薬、そして鼻にスプレーする炎症止めのお薬、あと目薬です。
また子どもでも、舌下免疫療法をすることができます。

二見いすず: 舌下免疫療法とはどのような治療法なのですか?

今給黎亮Dr: 「ぜっか」はベロの下、という意味です。
すごく少ない量のスギ花粉の成分を含んだ治療薬を舌の裏に置き、しばらく置いたままにして、飲み込みます。
スギ花粉とダニの治療薬があります。
体質を整えることで症状を起こしにくくする治療として期待されています。
自宅で治療することが可能ですが、注意点として治療効果はすぐに出ないこと、花粉が飛んでいる時期、つまり今は始められないこと、最低でも3年など長期にわたって治療する必要があること、があげられます。

二見いすず: それほど長い期間治療するということは、効果もあるということでしょうか?

今給黎亮Dr: 治療期間が長いのは、体質を変えるのに時間がかかる、ということです。
アレルギー症状を抑える効果は治療を開始して初めての花粉が飛ぶ時期から実感される方も多いですが、短期間で止めるとすぐに元通りになってしまいます。
毎日のお薬を3年も続けるのは大変ですが、お子さんの場合、学校生活で生活リズムが規則的なので、大人よりも舌下免疫療法を続けやすいのではないかと思います。

二見いすず: そうなんですね。

今給黎亮Dr: また、12歳以上で重症な方に限られますが、花粉の時期に月に1回~2回注射をする新しい治療法も注目されています。
眠気を我慢して効果の強い飲み薬を使っている方や、受験生などに勧められることが多いです。
事前の検査や費用面の問題があるので、まずはかかりつけの医療機関で相談してください。

二見いすず: よく分かりました。
今月は小児疾患をテーマに、来週までは子どもの花粉症についてお伝えします。
お話は鹿児島県医師会の今給黎亮ドクターでした。
ありがとうございました。

今給黎亮Dr: ありがとうございました。