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2023.5.20 第1046回放送分『白血病』3回目 ゲスト:伊藤 能清ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「白血病」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の伊藤能清(いとう よしきよ)ドクターです。
伊藤さん、どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤能清Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、白血病の症状についてお話しいただきました。
症状としては、めまいやだるさ、息切れ、発熱や風邪が治りにくい、鼻血や皮下出血などの出血症状があるということでした。
また、かかりつけ医などで「白血病かもしれない」と疑われたら、ただちに専門の病院で、急性白血病かどうかの診断を確定し、適切な治療を始めることが大切とのことでした。
今日はどのようなことについてお話しいただけますか?

伊藤能清Dr: 今日は、白血病の治療についてお伝えいたします。
1週目にもご説明しましたが、白血病にはステージという考え方がなく、たとえば他の早期がんとは異なり、「がんの部分だけ切除する」という治療法が通用しません。

二見いすず: そうでしたよね。

伊藤能清Dr: 血液悪性腫瘍細胞は1つでも残っていると再び増殖し、再発してしまうことになります。
このため白血病の治療では、完全に血液悪性腫瘍細胞をゼロにすることを目標としています。

二見いすず: 具体的な治療としては、どのようなことをするのでしょうか?

伊藤能清Dr: いわゆる抗がん剤による薬物療法、造血幹細胞移植、放射線治療などです。

二見いすず: 造血幹細胞移植というのは、何ですか?

伊藤能清Dr: 正常な血液細胞のもととなる造血幹細胞をいれる治療で,最初に行われたのが骨髄液をいれる骨髄移植になります。
最近では臍帯血移植もあります。
こちらに関しては来週しっかりお伝えします。

二見いすず: 分かりました。

伊藤能清Dr: 急性白血病の治療のおおまかな流れとしては、寛解導入療法を行い、地固め療法を1回、2回と行っていきます。

二見いすず: 寛解というのは、治るという意味で捉えてよろしいのでしょうか?

伊藤能清Dr: 寛解は、治療後の一定の時期にがんがある決められた検査によりほぼ消失している状態のことです。
白血病では、白血病細胞がいることの多い骨髄において白血病細胞が見当たらなくなり、正常な造血細胞が回復している状態を完全寛解と言います。
そして、長期間再発しなければ、完全治癒となります。

二見いすず: 治療で気になるのが副作用だと思いますが、こちらに関してはどうですか?

伊藤能清Dr: 抗がん剤を開始して最初の方は吐き気や食欲低下などが生じることがあります。
治療開始後4~6週間ほどは正常な白血球の数が減って感染症が起こりやすいため、クリーンルームを使用します。
治療中は患者さんの負担にならないように、副作用の軽減を図るため,数種類の薬を服用して頂きます。

二見いすず: 分かりました。
今月は白血病をテーマにお送りしています。
お話は鹿児島県医師会の伊藤能清ドクターでした。
ありがとうございました。

伊藤能清Dr: ありがとうございました。