Loading...

2023.7.1 第1052回放送分『感染症』1回目 ゲスト:西 順一郎ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「感染症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さん、よろしくお願いいたします。

 

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

 

二見いすず: 今日は何についてお話いただけますか?

 

西順一郎Dr: 今日はRSウイルス感染症をはじめ、最近流行している感染症についてお伝えします。
まずRSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって引き起こされる、呼吸器感染症です。
県内で3月から4月にかけて増えたのですが、まだまだこの流行は続きそうです。

 

二見いすず: RSウイルス感染症は、春先に流行するものなのでしょうか?

 

西順一郎Dr: いいえ、春先に流行するのは県内では初めてです。
通常は夏から秋に増えるのですが、去年は患者さんが少なかったため、免疫のない子どもたちが増え、早めに流行が起きたと考えられます。

 

二見いすず: そうなんですね。
特に気をつける世代はありますか?

 

西順一郎Dr: RSウイルス感染症は乳幼児から高齢者まで感染しますが、3歳までの乳幼児がかかると呼吸困難がみられ重症化することがあります。
とくに0歳児にとっては、インフルエンザや新型コロナよりもはるかに危険です。
学童や大人がかかっても普通の風邪のような症状ですが、乳幼児にうつさないことが大切です。

 

二見いすず: わかりました。

 

西順一郎Dr: そして今年は、インフルエンザA型も流行が続いています。

 

二見いすず: この時期まで流行するのは珍しいですね。

 

西順一郎Dr: はい。
新型コロナの影響で昨年までインフルエンザがまったく流行せず、今年の冬の流行も小さかったため、免疫のない子どもたちがかなり残っていることと、新型コロナ対策が緩和され、マスクをしなくなったことも原因と考えられます。
他県では学校を中心に大きな集団感染がみられましたので、鹿児島でも注意が必要です。

 

二見いすず: マスクを外す機会が増えたことで、コロナ禍では流行しなかったものが増えてしまったんですね。

 

西順一郎Dr: そうですね。
ほかにもヘルパンギーナが大きな流行になっています。
毎年夏に増えますが、今年は例年の2倍の患者数がみられています。
エンテロウイルスというウイルスが原因で、乳幼児がかかる咽頭炎です。
発熱がみられ、のどの奥に口内炎のような発疹ができ、痛くて食事がとりにくくなりますので、脱水にご注意ください。

 

二見いすず: 大人もかかるのでしょうか。

 

西順一郎Dr: 大人が感染することはまれですが、体力が低下しているとかかることがあります。
また、まったく免疫のない大人が感染すると子どもよりも重症化しますので、症状が強いときは医療機関を受診してください。

 

二見いすず: よく分かりました。
今月は感染症についてお伝えしてまいります。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

 

西順一郎Dr: ありがとうございました。