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2023.7.8 第1053回放送分『感染症』2回目 ゲスト:西 順一郎ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「感染症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さん、よろしくお願いいたします。

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、最近流行しているRSウイルス感染症やインフルエンザA型、ヘルパンギーナについてお聞きしました。
今日は何についてお話いただけますか?

西順一郎Dr: 今日は、新型コロナウイルスのオミクロン株のひとつであるXBBについてお伝えします。

二見いすず: オミクロン株は少しずつ変異してきていますよね。

西順一郎Dr: はい。
2021年12月頃、世界に広がったオミクロン株ですが、これまでBA1、BA2、BA4、BA5と変異しています。

二見いすず: そうして今、XBBが流行っているということですが、これはBA5から変異したということでしょうか?

西順一郎Dr: いいえ、そうではなくて、BA2の2種類の株が合わさってできたものがXBBです。
鹿児島県でもXBBがすでに72%を占めています。

二見いすず: そうなんですね。
こうやって少しずつ変異を繰り返すのは、私たち人間にとっては厄介ですが、当たり前のことなのでしょうか?

西順一郎Dr: 感染やワクチン接種でできる免疫から逃れようとするのは、ウイルスの自然の流れです。
XBBはこれまでと比べて、病原性は変りませんが、免疫を逃れる力がBA5よりさらに強くなっていますので、この冬に接種したワクチンの効果が低下していると思います。

二見いすず: ちなみにオミクロン株にすでに感染していても再び感染してしまう可能性はあるんでしょうか?

西順一郎Dr: これまでも再感染はみられましたので、XBBではその可能性が高くなります。
したがって、かかったことがある人でもワクチンによる予防が大切です。
新型コロナはかぜではありません。
発熱や頭痛、倦怠感がみられ、のどの痛みがとても強いのが特徴です。
人によっては、痛みで食べ物が食べられないと訴える方もいます。

二見いすず: 確かにそれだけの大変な症状が出るとなると、普通の風邪とはまったく違うので、引き続き気をつける必要がありますね。

西順一郎Dr: はい。
ただし致死率、感染した人が死亡する割合は、以前よりも明らかに低くなっています。
2021年までの国内の致死率は1.1%でしたが、オミクロン株が流行した22年は0.14%まで下がりました。

二見いすず: そうなんですね。

西順一郎Dr: しかし今年は5月8日までで0.38%に増えています。
これは、1月に医療機関や高齢者施設での集団感染が多くみられ、基礎疾患のある高齢者の死亡が多かったためです。
インフルエンザの致死率0.1%に比べて、新型コロナの方が致死率はまだ高く、高齢者は注意が必要です。

二見いすず: よく分かりました。
今月は感染症についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

西順一郎Dr: ありがとうございました。