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2023.7.22 第1055回放送分『感染症』4回目 ゲスト:西 順一郎ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「感染症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西順一郎(にし じゅんいちろう)ドクターです。
西さん、よろしくお願いいたします。

 

西順一郎Dr: よろしくお願いいたします。

 

二見いすず: 先週は、ワクチン接種について教えていただきました。
現在、起源株とオミクロン株を混ぜた、オミクロン株対応ワクチンの接種が高齢者や基礎疾患のある方たちを対象に進んでいて、一般の方たちは9月から接種可能というお話でした。
今日は何について教えていただけますか。

 

西順一郎Dr: 今日は、新型コロナの飲み薬についてお伝えします。
新型コロナの致死率は高齢者ではまだ高いので、高齢者や基礎疾患のある方は、重症化予防のために薬が必要となります。

 

二見いすず: それ以外の人たちは、薬は不要ということでしょうか?

 

西順一郎Dr: いいえ、症状を軽減する効果もありますので、12歳以上で症状が強い場合は飲み薬があります。

 

二見いすず: 分かりました。
薬はいくつか種類があるんでしょうか?

 

西順一郎Dr: はい。
3種類の薬があります。
高齢者と基礎疾患のある方は、パキロビッドパックとラゲブリオの二つです。

 

二見いすず: ではまず、パキロビッドパックについて教えてください。

 

西順一郎Dr: パキロビッドパックは、ウイルスのタンパク質分解酵素を阻害する薬です。
一緒に飲めない薬が多いので、注意が必要です。
重症化や死亡の割合を半分に下げる効果があります。
また、その後のコロナ以外の病気による入院や死亡を減らすというデータもあります。

 

二見いすず: コロナ以外の病気というのは、どういう意味でしょうか?

 

西順一郎Dr: たとえば心筋梗塞や脳卒中などによる入院予防効果もみられています。

 

二見いすず: そうなんですね。
続いて、ラゲブリオについても教えてください。

 

西順一郎Dr: ラゲブリオは、ウイルスの遺伝子の複製を阻害する薬です。
妊婦は飲めないので注意してください。
この薬も重症化の割合を約半分に下げる効果と、コロナ以外の病気による入院や死亡を減らす効果があります。
パキロビッドパックもラゲブリオも1日2回5日間ですが、発症5日以内に飲めば、重症化予防効果が期待できます。

 

二見いすず: 分かりました。
高齢者や基礎疾患のある方以外の、一般の人たちが飲む薬はどのようなものになりますか?

 

西順一郎Dr: 12歳以上のすべての人が飲めるのが、ゾコーバです。
やはり1日2回5日間です。
発症3日以内に飲むと、症状が軽快するまでの時間が24時間短くなるとされています。
後遺症が出る割合を45%下げるとも言われています。
また、喉から出るウイルス量を減らしますので、人にうつしにくくなる効果も期待されます。
いずれの薬も発症から早く飲むほど効果が高いので、コロナの疑いがあれば、医療機関を受診してください。

 

二見いすず: よく分かりました。
今月は感染症についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の西順一郎ドクターでした。
ありがとうございました。

 

西順一郎Dr: ありがとうございました。