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2023.8.5 第1057回放送分『免疫不全症』1回目 ゲスト:西川 拓朗ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「免疫不全症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西川拓朗(にしかわ たくろう)ドクターです。
西川さん、よろしくお願いいたします。

西川拓朗Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 西川さんは鹿児島大学の小児科の先生でいらっしゃいますが、大人の免疫不全症についても診ていらっしゃるとのことです。
ちなみに鹿児島県で免疫不全症をご専門にされているのは、唯一、西川さんだけだそうですね。

西川拓朗Dr: はい。
「免疫不全症って、一体どんな病気だろう?」と、初めてお聞きになる方もいらっしゃるでしょうから、なるべく分かりやすくお伝えしたいと思います。

二見いすず: ありがとうございます。
1週目の今日は何についてお話しいただけますか?

西川拓朗Dr: まずは「免疫とは?」という基本的なことからお伝えします。

二見いすず: 私たち一般の人からすると、「免疫があれば、もしその病気になっても軽くて済む、大丈夫」みたいなイメージがあります。

西川拓朗Dr: 二見さんのおっしゃるとおりです。
一度かかった病気に二度とかからない、もしくは、かかっても軽く済む働きのことを免疫といいます。
白血球の働きによって、細菌やウイルス、真菌など、非自己を認識し、排除してくれます。
そして免疫には4つあります。

二見いすず: 4つですね。それぞれ教えてください。

西川拓朗Dr: はい。
まず自然免疫。
これはとても原始的なものです。
そして獲得免疫。
これは高等動物になると持つ免疫です。
また、抗体をつかってやっつけるのが液性免疫で、免疫細胞が直接異物をやっつけるのが細胞性免疫です。
獲得免疫について、少し話は逸れますが、興味深い話があるのでいいでしょうか?

二見いすず: ぜひお願いします。

西川拓朗Dr: 今から163年前の1860年のイギリスと、今から3万年くらい前の旧石器時代。
実は、人間の寿命はほとんど変わらず、半数くらいの方は20歳を迎える前に亡くなっており、その原因のほとんどは、感染症だったのです。
つまり人類はずっと感染症との戦いをしていたと言えます。

二見いすず: えっ!?そうなんですか?

西川拓朗Dr: はい。
つい160年ほど前まではそうでしたが、上下水道の発達、ワクチンや抗菌薬のおかげで、今のように生きられるようになりました。

二見いすず: でも、こういった免疫がうまく働かないために、病気になってしまうんですよね?

西川拓朗Dr: そうですね。
この3種の神器があるにも関わらず、若くして感染症で亡くなったり、重症感染症になったりする方がいることが分かり、免疫不全症という疾患があることがようやく認識されるようになりました。

二見いすず: よく分かりました。
今月は免疫不全症についてお伝えしてまいります。
お話は鹿児島県医師会の西川拓朗ドクターでした。
ありがとうございました。

西川拓朗Dr: ありがとうございました。