Loading...

2023.8.12 第1058回放送分『免疫不全症』2回目 ゲスト:西川 拓朗ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「免疫不全症」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の西川拓朗(にしかわ たくろう)ドクターです。
西川さん、よろしくお願いいたします。

西川拓朗Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、免疫とは何か?について、お話しいただきました。
今日は何について教えていただけますか?

西川拓朗Dr: 今日は、生まれつきの疾患である原発性免疫不全症についてお伝えします。
原発性免疫不全症は遺伝子の異常で生じ、稀なものも含めて実に400以上の疾患があることが分かっています。
そして、生まれつきというと、小児科というイメージがあると思いますが、大人になっても発症することが、この20年くらいで分かってきました。

二見いすず: 先週もお伝えしましたが、西川さんは小児科の先生なのですが、大人の免疫不全症についても診ていらっしゃる、鹿児島で唯一の専門の先生です。
さて、生まれつきの原発性免疫不全症。大人になっても発症するとのことですが、このような方は、どのくらいの割合でいるのでしょうか?

西川拓朗Dr: 日本だけのデータだと、この疾患のおよそ3分の1が成人してから発症しています。
しかし、ヨーロッパだと半分くらいが成人なので、日本は「まだ診断されていないだけ」という方もいらっしゃるのかもしれません。

二見いすず: では少し未来では、日本も大人になってから診断される方の割合が増えるかもしれないのですね?

西川拓朗Dr: その可能性はあります。
繰り返しになりますが、「生まれつきの原発性免疫不全症は子どものときだけに発症するものではなく、大人になってからでも発症することがある」このことは大切なので、覚えておいて頂けると幸いです。

二見いすず: 分かりました。
そもそも、原発性免疫不全症という疾患自体を知らないと、なにか症状があっても普段通り生活してしまうこともありそうですが、チェックポイントなどはありますか?

西川拓朗Dr: はい。
子どもと大人で少し違うので、それぞれお伝えいたします。
まず子どもですが、1年に2回以上肺炎にかかる、抗菌薬を服用しても2ヶ月以上感染症が治らない、1年に4回以上中耳炎にかかる。
大人に関しては、2年以上、1年に1回以上肺炎にかかる、体重の減少を伴う慢性下痢症、原発性免疫不全症候群を疑う家族歴がある。などです。
詳しくはインターネットで「原発性免疫不全症を疑う10の兆候」と検索するとすぐに出てきますので、参考にしていただければと思います。

二見いすず: 今のチェックポイントで「あれ?おかしいな・・・」と感じた場合、まずは、かかりつけ医に診てもらえばいいのでしょうか?

西川拓朗Dr: はい。
原発性免疫不全症と診断するための検査は、基本は血液検査だけです。
何か異変を感じたら、まずはかかりつけ医にご相談ください。

二見いすず: よく分かりました。
今月は免疫不全症についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の西川拓朗ドクターでした。
ありがとうございました。

西川拓朗Dr: ありがとうございました。