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2023.10.21 第1068回放送分『眼科疾患』3回目 ゲスト:尾辻 太ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「眼科疾患」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会の尾辻太(おつじ ふとし)ドクターです。
尾辻さん、どうぞよろしくお願いいたします。

尾辻太Dr: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は眼底検査についてお話しいただきました。
緑内障は自覚症状がないため、この眼底検査を年に1回受けることがとても大切というお話でした。
今日は何について教えていただけますか。

尾辻太Dr: 今日は緑内障の治療についてお伝えいたします。

二見いすず: 先週は、「緑内障は良くなることがないため、欠けた視野を元に戻すことはできない」ということをお聞きしましたが、治療をするのは進行を遅らせるためというのが目的なのでしょうか。

尾辻太Dr: おっしゃるとおりです。
緑内障は良くすることは難しいですが、進行を遅らせることはできます。
治療法としては、まずは目薬です。
目薬でもコントロールできないときには手術になります。

二見いすず: 最初から手術という方もいらっしゃるのですか?

尾辻太Dr: まれにありますが、ほとんどの方は目薬で治療を開始して、そのあとに手術するかを選択することになります。
目薬でも手術でも、とにかく眼圧を下げることが目的です。

二見いすず: 眼圧を下げる、ですね。

尾辻太Dr: はい。
眼圧は少しでも低いほうが、視神経や血管への圧迫が軽減されるので、病気の進行を抑制することができます。

二見いすず: 分かりました。
先週、そして先々週も触れましたが、緑内障は日本人の中途失明の原因第1位、40歳以上の20人に1人が罹患していて、進行のスピードは早いと数ヶ月、遅いと10年20年ということでしたよね。

尾辻太Dr: はい。
仮に40代で緑内障を発症したとして、そのまま自覚症状がなく10年過ごしたら、50代ではかなり進行した状態になるということになります。

二見いすず: 人生100年時代と言われる今、まだ人生の折返し地点でもしかしたら失明してしまう可能性があるのは、本当に困ることですよね。

尾辻太Dr: そうならないための眼圧、眼底検査ですし、緑内障に限らず、目の健康を維持することは、これからの高齢化社会に向けて、とても大切です。
事実、目が悪いと転倒してしまうリスクが10倍以上になるというデータもあります。

二見いすず: 高齢になってからの転倒は、寝たきりの原因にもなるので注意したいですね。

尾辻太Dr: はい。
問題なく見えているときは「検査なんて必要ないだろう」と思いがちですが、年に1回の眼底検査をぜひ習慣づけていただきたいです。

二見いすず: よく分かりました。
今月は眼科疾患についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の尾辻太ドクターでした。
ありがとうございました。

尾辻太Dr: ありがとうございました。