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2024.3.9 第1088回放送分『子どもの食物アレルギー』2回目 ゲスト:吉川英樹ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの食物アレルギー」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の吉川英樹(よしかわ ひでき)ドクターです。
吉川さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

吉川英樹Dr.: よろしくお願いいたします。

 

二見いすず: 先週は、アトピー性皮膚炎の子どもが、食物アレルギーになりやすいということについてお話いただいました。

吉川英樹Dr.: はい。
今日はまず、アレルギーマーチの話からお伝えします。

 

二見いすず: アレルギーマーチ。これはどういうものなのですか?

 

吉川英樹Dr.: アレルギーになりやすい体質の子どもが、成長するにつれて、さまざまなアレルギー疾患に順番にかかっていく様子を「マーチ」という行進に例えたものです。
先週お伝えしたように、赤ちゃんのうちはアトピー性皮膚炎を発症しやすく、その後、食物アレルギー、そしてもう少し大きくなると気管支喘息、さらに大きくなるとアレルギー性鼻炎などが増えてきます。

 

二見いすず: いろんなアレルギーがあって本当に大変ですが、食物アレルギーは、なにか予防できる方法があるのでしょうか?

 

吉川英樹Dr.: 予防法ですが、実はこの10年くらいで考え方がガラリと変わったんです。

 

二見いすず: そうなんですね。どのように変わったのでしょうか?

 

吉川英樹Dr.: 昔は、「アレルギーになるものは食べない、除去しなさい」という考え方でしたが、今は、「実は早くから食べたほうがアレルギーになりにくい」となってきました。

 

二見いすず: 真反対ですね!それはどうしてなのでしょうか?

 

吉川英樹Dr.: 近頃の研究で分かってきたのですが、ピーナッツアレルギーを例にすると、早くからピーナッツを食べている子どものほうが食べていない子どもよりも、ピーナッツアレルギーになる確率が低いんです。
およそ4分の1くらいなので、驚きですよね。

 

二見いすず: そんなに違うんですね。
では赤ちゃんのときからピーナッツを食べていたほうが、ピーナッツアレルギーの発症率が低くなるということでしょうか?

 

吉川英樹Dr.: はい、そうなんです。
0歳だとピーナッツはそのまま食べられないので、ペースト状にして食べるといいですね。
これは何もピーナッツに限ったことではなく、卵アレルギーでも同様の研究結果が出ています。

 

二見いすず: そうなんですね。

 

吉川英樹Dr.: はい。
なので、むやみに遅らせないことが大切です。
たとえばお母さんが卵アレルギーだから、「我が子に卵を食べさせるのは、もう少し大きくなってからにしよう」なんていうのは、間違いなんです。

 

二見いすず: よかれと思って食べさせるのを遅らせていると、かえって逆効果になることがあるということですね。

 

吉川英樹Dr.: はい。
なので、皮膚をきれいにした上で、早くから食べさせるというのが、今の時代の食物アレルギーの予防法となっています。

 

二見いすず: よく分かりました。
今月は「子どもの食物アレルギー」についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の吉川英樹ドクターでした。
吉川さん、ありがとうございました。

 

吉川英樹Dr.: ありがとうございました。