2024.3.30 第1091回放送分『子どもの食物アレルギー』5回目 ゲスト:吉川英樹ドクター
二見いすず: | 今月のドクタートークは「子どもの食物アレルギー」をテーマにお送りいたします。 お話は、鹿児島県医師会の吉川英樹(よしかわ ひでき)ドクターです。 吉川さん、最終週もどうぞよろしくお願いいたします。 |
吉川英樹Dr.: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、子どもの食物アレルギーはどのように管理するのかについて教えていただきました。 「念のために」とか「心配だから」といって必要以上に除去する食べ物を増やすのではなく、正しい診断に基づいた、原因となっている食べ物を必要最小限に除去することが大切というお話でした。 今日は何についてお話しいただけますか。 |
吉川英樹Dr.: | 今日は、食物アレルギーで症状が出た場合についてお伝えします。 食物アレルギーによる症状は、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器などいくつかの臓器に出ることがあります。 圧倒的に多いのが皮膚症状です。 ちなみに2つ以上の複数臓器にわたって強い症状が出ることをアナフィラキシーといいます。 この言葉はよく耳にされることがあると思います。 |
二見いすず: | そうですね。 アナフィラキシーショックという言葉も聞きますが、アナフィラキシーと、アナフィラキシーショックはどのような違いがあるのでしょうか? |
吉川英樹Dr.: | アナフィラキシーに、血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックといいます。 |
二見いすず: | アナフィラキシーになった場合、本人も周りの人たちも、とても不安だと思いますが、どのように対応すればいいのでしょうか? |
吉川英樹Dr.: | アナフィラキシーに飲み薬は効きません。 アドレナリンの筋肉注射をして血圧を上げます。 しかし、すぐに医師の治療を受けられない場合もあると思います。 そのときは、エピペンが有効的です。 |
二見いすず: | エピペンというのは、どういうものでしょうか? |
吉川英樹Dr.: | 医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和して、ショックを防ぐためのアドレナリン自己注射薬です。 |
二見いすず: | これは、一般の人が打ってあげても大丈夫なんですか? |
吉川英樹Dr.: | はい、大丈夫です。ジーンズの上や制服の上からも打てます。 |
二見いすず: | アナフィラキシーショックではなく、アナフィラキシーの状態でも打っていいのでしょうか? |
吉川英樹Dr.: | はい、打っていいです。 太ももの外側、付け根から膝の真ん中あたりに打つようにしてください。 しかし、一時的なので効果は15分ほどです。 エピペンを打つと同時に、救急車も必ず呼ぶようにしましょう。 |
二見いすず: | よく分かりました。 食物アレルギーをお持ちのお子さん、親御さんだけではなく、周囲の大人もこのような対応を覚えておきたいですね。 今月は「子どもの食物アレルギー」について、鹿児島県医師会の吉川英樹ドクターに貴重なお話をしていただきました。 吉川さん、5週にわたり、ありがとうございました。 |
吉川英樹Dr.: | ありがとうございました。 |