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2024.5.18 第1098回放送分『がん領域』3回目 ゲスト:大塚隆生ドクター

二見いすず: 今月のドクタートークは
「膵臓がん」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会 大塚隆生(おおつか たかお)ドクターです。
大塚さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 

大塚隆生Dr: よろしくお願いいたします。

 

二見いすず: 先週は膵臓がんの検査と、切除可能なステージについてお話しいただきました。
がんが周りに浸潤していないステージ0と、浸潤しているけれども小さい、ステージ1は切除可能とのことでしたが、この段階で発見できるのは、膵臓がん全体の5%未満というお話でした。
ステージ2になるとも見た目には、切除可能なものとのですが、手術のみでは組織学的肉眼では見えないにがんが残ってしまう可能性が高いものとが混在するというお話でしたが、このステージ2で、がんが見つかるのはどのくらいの割合なのでしょうか?

 

大塚隆生Dr: ステージ2の段階で25%です。

 

二見いすず: つまり、切除可能である段階で見つかるのが、ステージ0と1の5%と合わせて、30%ということになるんですね。

 

大塚隆生Dr: はい。
ステージ3、ステージ4になると切除ができないとされています。

 

二見いすず: そのような患者さんは、どのような治療を行うのでしょうか?

 

大塚隆生Dr: 遠くの臓器に転移しているステージ4では場合に化学療法、局所にとどまっているのステージ3では場合は化学放射線療法を行います。
化学療法は、ステージ1や2の患者さんでも、手術の前にするケースがほとんどです。これを術前補助療法といいます。

 

二見いすず: 切除可能な場合でも、手術前に化学療法をする理由はなぜでしょうか?

 

大塚隆生Dr: どうしても目には見えない、ごく小さながんというものがあります。
のちに再発しないよう、先にがん細胞を叩いておくのです。
術後も同様に、補助療法として化学療法を行います。

 

二見いすず: そうなんですね。

 

大塚隆生Dr: 話をステージ3、ステージ4に戻しますが、化学療法の選択肢も増えてきたので、昔は余命が3ヶ月から半年と言われていた場合ケースでも、その倍以上の半年から1年にのびるようになりました。

 

二見いすず: はい。

 

大塚隆生Dr: また、局所にとどまっているけど切ってはいけない血管を巻き込んでいる切除不能なステージ3の場合ですが、最初は切除不能と診断されたものの、化学療法や化学放射線療法を一定期間行った結果、外科的小さくなって手術ができるようになってきてる場合がありいます。
コンバージョン手術といいますが、現在まだ10%未満です。
これをなるべく増やしていくことが、私たちの大きな目標の一つです。

 

二見いすず: 医学の進歩によって、少しずつ治療の選択肢が増えてきているのですね。
今月は、「膵臓がん」をテーマにお送りしています。
お話は、鹿児島県医師会 大塚隆生ドクターでした。
大塚さん、ありがとうございました。

 

大塚隆生Dr: ありがとうございました。