2024.8.24 第1112回放送分『小児科領域』4回目 ゲスト:鈴東昌也ドクター”
二見いすず: | 今月のドクタートークは 「子どもの疾患」をテーマにお送りしています。 お話は、鹿児島県医師会 鈴東昌也(すずひがし まさや)ドクターです。 鈴東さん、どうぞよろしくお願いいたします。 |
鈴東昌也Dr: | よろしくお願いいたします。 |
二見いすず: | 先週は、子どもの嘔吐と下痢についてお話しいただきました。 大半は、ウイルス性胃腸炎の場合が多いということですが、もし「下痢はないけど、嘔吐だけある」という場合は胃腸炎以外の疾患の可能性があり、中でも脳腫瘍の可能性があるケースもあるので、十分注意が必要というお話でした。 また、緊急手術が必要な胆汁性嘔吐の場合は、嘔吐したものの色が、黄色から濃い緑色をしているため、嘔吐した色にも注意することが大切ということでした。 今日は何についてお話しいただけますか。 |
鈴東昌也Dr: | 今日は、子どもの血便についてお伝えいたします。 |
二見いすず: | 大人だと、血便の場合は「大腸がんなのでは・・・?」と心配になりますが、子どもの場合はどうなんでしょうか? |
鈴東昌也Dr: | そうですよね。 大人だと大腸がんを疑うことがあると思いますが、小どもの場合は大腸がんを疑いません。 子どもの年齢と症状によって、血便の原因はある程度絞られます。 |
二見いすず: | そうなんですね。 |
鈴東昌也Dr: | まず生後半年から3歳未満の子どもだと、先々週お伝えした腸重積症が考えられます。 |
二見いすず: | すごく痛くて泣く、あの腸重積症ですね。 |
鈴東昌也Dr: | はい。 ちなみに一番頻度が高いのは裂肛といって切れ痔です。 |
二見いすず: | そういえば以前、子どもの腹痛の原因で最も多いのが便秘ということでしたが、これも関係しているのでしょうか? |
鈴東昌也Dr: | おっしゃるとおりです。 便秘が原因となって、硬い便をしたときに切れ痔になり、そしてまた痛いものだから便を我慢してしまうんですね。 |
二見いすず: | 悪循環になってしまうんですね。 |
鈴東昌也Dr: | そうなんです。 便秘に対するコントロールを行うことで、切れ痔は改善します。 子どもの便秘に関しては、また来週しっかりとお伝えいたします。 |
二見いすず: | 分かりました。 |
鈴東昌也Dr: | 切れ痔以外では若年性ポリープの可能性もあります。 悪性化することはないので、その点はご安心ください。 大腸カメラで切除します。 また、メッケル憩室という小腸の病気もあります。 症状がないことが多いのですが、血便や腹痛があるときは手術をします。 |
二見いすず: | 他にはどのような病気の可能性がありますか? |
鈴東昌也Dr: | 発熱がある場合は、細菌性腸炎が疑われます。 熱がなくて黒い便のときは胃十二指腸潰瘍の可能性もあります。 また長期間繰り返す下痢や腹痛を伴う血便では、クローン病や潰瘍性大腸炎といって小腸や大腸などの粘膜に慢性的な炎症を起こす病気の可能性を疑います。 |
二見いすず: | よく分かりました。 今月は、「子どもの疾患」をテーマにお送りしています。 お話は、鹿児島県医師会 鈴東昌也ドクターでした。 鈴東さん、ありがとうございました。 |
鈴東昌也Dr: | ありがとうございました。 |