健康トピックス  

寝かせ方などに注意-乳幼児突然死症候群(SIDS)-



赤ちゃんが、ある日突然に

 文字どおり、昨日まで、あるいはつい先ほどまで元気だった赤ちゃんが突然に亡くなってしまう病気で、英語の病名の頭文字をとってSIDSと呼ばれることも多いようです。
 この病気は、乳児期、特に生後5ヶ月前後に多く発生する原因不明の突然死ですので、原因に対するきちんとした対策を立てることができません。
 両親にとっては赤ちゃんの突然の死亡によるショックに加えて、原因がわからないことによって自責の念にかられるケースも少なくありません。

原因と考えられるものは?

 欧米では乳児死亡原因の第1位がSIDSで、日本では第3位です。日本での発生率は欧米諸国の約4分の1と少ないのですが、それでも年間約500人が死亡していると推定されます。
 しかし、これまでの研究で、SIDSの発生と関連すると考えられる危険因子が、いくつか浮かび上がってきています。 その中で一番問題にされているのがうつ伏せに寝かせることです。さらに人工乳で育てることや、母親や周囲の人の喫煙なども関連を疑われています。

SIDSを減らすためのキャンペーン

 そこでいくつかの国において、仰向け寝、母乳保育、禁煙、乳児を暖め過ぎない、といったことを提唱して普及した結果、SIDSの発生がかなり減少してきました。日本でもSIDSによる死亡率を半減させるのを目標に、平成10年に同様のキャンペーンを始めたところ、同年のSIDS死亡が25%減少しました。
 赤ちゃんの呼吸が止まっているのを発見したときは、すぐに背中をたたいて刺激し、図のように人工呼吸を行うとともに、救急車を呼ぶことが大切です。

●乳児の人工呼吸
下あごを前方に押し出して気道を確保する。救助する人は口で乳児の口と鼻をおおい、1分間に20回のペースで軽く「フッ」と息を吹き込む。あきらめず根気よく続ける。



指導:厚生省政策医療課課長(前 母子保健課課長) 小田 清一
企画:日本医師会
協賛:萬有製薬株式会社