安静から運動療法へ
心臓病でいま最も重要視されているのが虚血性心臓病です。心臓を養っている冠状動脈の動脈硬化が原因の、狭心症や心筋梗塞に代表されるものです。
かつて心臓病の患者さんにはできるだけ安静を保つように指導していましたが、最近では治療の中に運動を取り入れるようにしています。これは他の心臓病でも原則的に同じことがいえます。
筋肉運動がポンプの役割
筋肉、とくに足の筋肉を動かすと、筋肉と筋肉の間にある静脈を外から圧縮したり拡張したりして、第二の心臓のように、中に流れる血液を心臓のほうへ送り出すことになります。つまり、筋肉運動は血液を循環させるポンプのような働きをして、心臓を助けているのです。
負担と軽減が心筋を強くする
運動をすることによって、車のアクセルの役割をはたす交感神経が興奮して、心拍数を増やし血圧を上昇させます。逆に、運動を終えたあとには、ブレーキの作用をはたす副交感神経が優勢になって、心拍数を減らし血圧を低下させます。運動によるこのような負担と軽減は虚血に対して強い心筋を作ります。
医師の指導で適度な運動を
もちろん、心臓病の人が過度な運動をすれば、心不全になることがあります。適度な運動量を守るためには、医師による適切な指導が欠かせません。
|