健康トピックス  

リンパ節のはれ
 人体には血液が循環していることは、誰でも知っていますが、リンパ液が循環していることは意外に知られていません。しかし、腿(もも)のつけ根や首などにグリグリができる(リンパ節がはれる)ことはほとんどの人が経験していることであり、はれている時は何か病気に関係あるのではないか・・・と、とても気になります。リンパ節がはれた場合に、私たちの体の中ではいったい何が起こっているのでしょうか?

 

◎リンパ管とリンパ節

 血液は肺で酸素を受け取り、動脈から毛細血管へと流れ、体の各部に酸素や栄養分を供給し、反対に二酸化炭素を受け取って静脈へと流れていきます。毛細血管では、血液中の血漿やたんぱく質の一部がしみ出し、リンパ毛細管に流れ込み、これが合流してリンパ管となります。リンパ管は左図のように体のほぼすべてに分布しており、そのところどころにリンパ節があるのです。

◎リンパ節は全身に400〜800個

リンパ節は全身に400〜800個あるといわれています。リンパ節の形はそら豆のような平べったい形をしており、大きさは米粒大のものから、大きいものは指先大くらいのものもあります。頸部(左右の首の横、耳の後ろ)や腋窩部(脇の下)、そけい部(腿のつけ根)などのリンパ節は体の表面近くにあるので、指先を当てて軽く押しながら動かすと、健康な人でもグリグリしたリンパ節を見つけることができます。
 リンパ節はこのように手で触れることができる部分だけでなく、体の内部の深い部分にもあります。

◎リンパ節はどのようにしてはれるのでしょうか?

 生体に侵入した細菌や異物などの外敵は、リンパ管の中を流れてきますが、リンパ管の随所にあるリンパ節はこれらを捕える関所のような役割を果たします。この関所の中では白血球や細胞などが集まってきて外敵と戦い、撃退します。この戦っている状態が「リンパ節のはれ」なのです。はれと同時に熱や痛みを伴うのが普通ですが、例外として悪性リンパ腫やがんなどでは、リンパ節が硬くはれていても、通常、痛みや熱は伴いません。それぞれのリンパ節に流れ込むリンパ管の領域は決まっているので、どのリンパ節がはれているかで、体のどの部分から病原体が入ったのかを知ることができますが、これはあくまで医師が判断することですから、素人判断は禁物です。いずれにしてもリンパ節がはれたら体に異常がある証拠なので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。


日医ニュース(24時間の医学No.596)
指導・杏林大学医学部第二内科助教授 青木 功