健康トピックス |
やけどの救急処置
やけどが多く発生する季節はというと、やはり暖房器具や熱湯を使う機会が多い冬と いうことになります。これから冬を迎える前の知識として、9月9日「救急の日」を機 会にやけどの救急処置を覚えておきましょう。 やけどの原因の約50%は火災、30%は熱湯によるものです。年齢別では、何の事 情もわからない乳幼児に多くみられます。これらの多くはまわりの人の注意で防ぐこと ができるものですから、救急処置とともにやけどを予防する生活上の注意点もぜひ覚え ておきたいものです。
◎やけどをしてしまったら、まずしなければならない処置
やけどをした部分(患部)をおおっている衣服があったら、すぐとってください。 火がついている場合はいうまでもなく、熱湯や油がしみこんだままほっておくと、それ だけ傷が深くなるからです。あせらず、そしてていねいに脱がせますが、場合によって はハサミで衣服を破ることも必要です。 患部を冷やすことと同時に汚れを取り除くために水道の流水にさらします。時間的に は15分から30分くらいが適当でしょう。 もし、水泡(水ぶくれ)ができていたら、つぶさないようにやさしく扱い、清潔なガ ーゼでおおうとよいでしょう。 アロエや馬香り油などは塗ってはいけません。チンク油も昔はやけどの治療に使って いましたが、現在では治療の妨げになるので使わないでください。何も塗らずに、でき るだけ早く外科・皮膚科・救急指定病院などで治療を受けてください。
◎生命にかかわるやけどとは?
大きなやけどの場合に、受傷直後は案外元気に見えることがあります。安心して、 医師の診察も受けずに自分で処置してしまったために、後になって容体が急変したという こともあります。次のような場合には生命の危険も考えられるやけどですから、一刻も早く医師の治療を 受けなければなりません。夜間や休日だからといって翌日にまわしたりするのはもっての ほかです。@体表面の20%以上(子供の場合は10%以上)にわたるやけどA範囲の広い、せまいを問わず、傷が深いと思われるやけどB顔、手、外陰部のやけどCお年寄や乳幼児のやけど (感染に対する抵抗力が弱いので、合併症を起こしやすい)D密閉された場所で起こった火災で、熱風を吸い込んだ場合 (気道熱傷が疑われる)なお広範囲のやけどの場合には、水で冷やすとかえって悪化させることもあるので、救急 車を要請する際に救急隊の指示をあおぐとよいでしょう。
乳幼児のやけどを予防する5つのポイント@乳幼児が一人でお風呂場に入らないようにカギをかけておく。 浴槽のフタはしっかりしたものを選ぶ (やけどだけに限らず、水死事故防止のためにも)。Aポットは安定性のあるもので、倒れてもお湯が流れ出ない方式のものを選ぶ。 また乳幼児の手の届く所に置かない (ワンタッチでお湯がでるタイプは特に注意)。Bカップラーメンは乳幼児の見ていない所で作り、容器は手の届かない所に置く。C炊飯器も熱い湯気がやけどの原因になるので、乳幼児の手の届かない所に置く。D電気のプラグを差し込んだままにしておかない。 通電したプラグを乳幼児がなめまわし、くちびるに深いやけど (電撃傷)を負う事故が意外に多い。
日医ニュース(24時間の医学No.598)
指導・順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院外科助教授 木所 昭夫