健康トピックス  
老化を防ぐ!糖化現象

◎糖尿病による高血糖を放っておくと・・・

 たちの血液中の正常なブドウ糖濃度(血糖値)は、空腹時でおよそ70〜110mg/dlに、そして食後1時間で160mg/dl以内、2時間で120mg/dl以内になっています。
 さて、血糖値は若い時に比較すると、年齢とともに少しずつ高めになっていく傾向があります。このような加齢(老化)に伴う血糖値の上昇はごくわずかです。しかし糖尿病になるとこの値が大幅に増加します。明らかな糖尿病状態での空腹時血糖は140mg/dl以上、食後も含めた随時血糖は200mg/dl以上です。
 一般に糖尿病の怖さは合併症にあるといわれますが、眼や腎臓や神経に起こる合併症の原因はいずれも高血糖、つまり糖尿病特有のものです。
 ところで、高血糖(空腹時110mg/dl以上)がもたらす身体への影響として、注目されている現象のひとつが身体の中の主に蛋白成分やコラーゲンなどに起こってくる「糖化現象」です。

 

◎糖化現象とは

 食品などの鮮度が落ちると色が変わるのは「褐変化現象」といわれるもので、食品中の糖分が蛋白質に反応して生じる現象です。この褐変化現象が人間の体内で起こるのが「糖化現象」です。
 血液中の赤血球には血色素(ヘモグロビン)という色素蛋白が含まれていますが、この蛋白成分と、血液中を流れるブドウ糖が反応して褐変化現象、つまり「糖化現象」が成立し、糖化されたヘモグロビン濃度が上昇します。この原理を応用して、血糖値の平均的な高さを知るための検査として、糖化ヘモグロビン検査(HbA1c測定)が広く行われています。この値は過去1〜2ヵ月の血糖レベルを反映するところから、1回の採血でおおまかな血糖コントロールの状態を知ることができます。

 

◎血糖値をコントロールして老化を防ぎましょう

 「糖化現象」は歳をとるにしたがって少しずつ進む生理現象です。しかし糖尿病の患者さんでは、血糖値をコントロールしておかないと「糖化現象」が進みやすく、老化が早められます。逆にいえば、糖化ヘモグロビン値をチェックして「糖化現象」の進行を抑えれば老化の促進は防げるのです。かかりつけの医師の指示を守って、ぜひ血糖値の正常化をはかりましょう。

 

●糖化を抑えて老化を防ぐ5つのポイント
@定期的に健康診断を受け、糖代謝異常(糖尿病)を早期発見する

A空腹時血糖値は110mg/dl以下を目標とする

B食後2時間血糖値は120mg/dl以下を目指す

C血糖マーカー(HbA1c)を6%以下に保つ

D食事は腹7〜8分目とし、毎日適度な運動をする

 


日医ニュース(24時間の医学No.601)
指導・東京慈恵会医科大学健康医学科教授 池田 義雄