健康トピックス  

老化を防ぐ!お酒の飲み方
 お酒は少量であればストレス解消や気分転換に有効です。しかし、長年にわたって大量に飲み続けていると、肝臓をはじめとした多くの臓器に障害が現れ、高血圧や肥満などの成人病を促進します。その結果老化が早まり、頭もボケやすくなります。

 

◎アルコールと成人病

 お酒を飲む量が増えると、それにつれて肝臓では中性脂肪の産生が高まりますが、一緒に脂肪の多い食事をとると、その傾向はいっそう強まります。その結果、脂肪肝や高脂血症を起こしたり、同時に動脈硬化を助長したりします。
 ただし、これらはアルコールを多量に飲んだときのことで、少量ではむしろ動脈硬化や狭心症、心筋梗塞など(これらを冠動脈疾患といいます)の発症を予防する働きがあるといわれています。
 多くの研究から、1日のアルコール摂取量を30〜40g(清酒で1合半、ビールなら大ビン1本半、ウイスキーならシングルで3〜4杯程度)以下ならば、冠動脈疾患の予防として適量といえるでしょう。逆にこれ以上になると冠動脈疾患の発症率が増えることも覚えておきましょう。

 

◎飲みすぎはボケのもと

 をとると脳神経細胞が減るのは生理的な現象、当然のことです。しかし長年にわたって多量のアルコールを飲み続けると脳神経細胞の減少を速め、脳萎縮が起こりやすいことが知らでれています。日頃から多量にお酒を飲む人は、お酒を飲まない同年齢の人とくらべて、脳萎縮の程度が強いといわれています。アルコールのとりすぎによって老化が進み、知的機能の障害やボケも速まってきます。

 

◎老化を防ぐお酒の飲み方とは・・・

 動脈硬化やボケを防ぐお酒の飲み方は、1日の飲酒量の上限を

○清酒なら・・・1合半以下

○ビールなら・・・大ビン1本半以下

○ウイスキーなら・・・シングル3〜4杯以下

として、それ以上は飲まないことです。また、毎日続けて飲まないようにし、蛋白質やビタミンを多く含んだ食品を同時にとるなど、栄養のバランスを考えることも大切です。


日医ニュース(24時間の医学No.605)
指導・慶應義塾大学医学部内科教授 石井 裕正