健康トピックス  

老化を防ぐ!脂肪の多い食品のとり方

◎老化は血管から

 、心臓などの臓器、あるいは筋肉、そのほか全身がうまく働いて健康な身体を保つためには、血液のめぐりがスムーズでなければなりません。そのためにはしなやかな血管が必要です。逆に血管が硬く、血管の内側に脂肪が蓄積してくると血流が悪くなります。これが動脈硬化といわれるもので、脳卒中や心筋梗塞の原因になり、心身の老化を早めます。この動脈硬化は食品、特に脂肪のとり方と密接な関係があります。

 

◎脂肪は大切は栄養素

 「脂肪をとり過ぎないように・・・」という注意はよく聞きますが、脂肪は人体には欠かせない栄養素のひとつでもあるわけです。摂取エネルギーの25%程度を脂肪から、55〜65%を炭水化物(糖質)から、15〜20%をたんぱく質からとるのがよいといわれています。しかし、統計的にみると現代の日本人は脂肪をとり過ぎています。

 

◎脂肪はできるだけ魚油、植物油から

 ひとくちに「脂肪」といってもさまざまな種類があり、それらをバランスよくとることが大切です。魚油や植物油〔多価不飽和脂肪酸(P)が多い〕と牛肉や豚肉などの脂〔飽和脂肪酸(S)が多い〕を比較すると、血管をしなやかにして血流を詰まらせない働きは、魚油や植物油に多いことがわかっています。そこで、魚油や植物油(P)1に対し、牛・豚などの脂(S)1.5の比でとるのが望ましいとされています。また、適量の植物油は悪玉コレステロール値を下げる働きがあります。

 

◎脂肪のとり方をもう一度見直しましょう

 脂肪はさまざまな食材料に含まれるとともに、市販の食品やファーストフードにも多く含まれているので、知らず知らずのうちにとり過ぎています。一度、自分の食生活を見直してみましょう。

 

◎若いうちから正しい食生活を

 食事は全体的に脂肪をやや控えめにし、脂肪はできるだけ魚油や植物油からとる比率を多くします。そして、1日に30品目以上の食品をバランスよくとるように心掛けましょう。正しい食生活は血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を下げ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)値を上げる効果があります。これらは血が固まりやすくなることや、血管の壁が厚くなるのを予防し、しなやかで弾力のある若々しい血管を作ります。若いうちから正しい食習慣を身につけ、老化を防ぎましょう。

 


日医ニュース(24時間の医学No.613)
指導・千葉大学医学部第二内科教授 齋藤 康