健康トピックス  

原因は意外なところにも-お年寄りの肺炎-



「誤嚥性(ごえんせい)肺炎とは?」

 もともと口の中にはかなりの雑菌(口腔内雑菌)が存在します。さらに歳をとるとゲップによって胃液が逆流しやすくなります。これらの口腔内雑菌や胃液が誤って気管から肺に入って起きた肺炎を「誤嚥性肺炎」をいい、お年寄りの肺炎は大部分がこのタイプです。

 健康な人が食物を飲み込むと、誤って気管に入らないように反射的に喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれるふたが働き、食べたものは食道を通過して胃に運ばれます。しかし、本人が自覚していない脳血管障害(脳梗塞など)があると脳神経活動が低下し、喉頭蓋の反射や咳による異物排出の反射もうまくいかないことがあります。

日頃から気をつけることは?

 口腔内雑菌が誤って肺に入っても、雑菌の数が少なければ肺炎になりにくいことがわかっています。食後に歯磨きや、柔らかいガーゼなどで口の中の清掃を行うことをおすすめします。寝たきりのお年寄りの場合、割りばしに柔らかいガーゼを巻いたものに口腔内消毒液をひたし、最低1日1回は行うようにしましょう。

 ゲップによる胃液の逆流は満腹のときに起きやすいので、食後2時間くらいは横にならずに座っているようにしましょう。また、おかゆなどの半固形食や、とろみのある食事に変えると、誤って気管に入り込むことが少なくなります。

 当然のことながら、高血圧や脳梗塞の治療をきちんと行い、脳血管障害を進行させない心掛けも忘れてはなりません。

ご注意!ここも寒い

 冬になると風邪も肺炎のもとになります。体力の落ちているお年寄りは、特にインフルエンザにかかったときの肺炎に気をつけなければなりません。インフルエンザワクチンは予防効果がありますから、積極的に接種しましょう。



指導:東北大学医学部老年・呼吸器病態学教授 佐々木 英忠
企画:日本医師会
協賛:第一製薬