健康トピックス  

うつ病?認知症?-高齢者はご用心-



うつ病は高齢者にも多い

 うつ病は思春期や働き盛りに多いのですが、高齢者でも目立ち、わが国では高齢者の10人に1人が何らかのうつ症状を持っていると言われています。
体の機能が衰えてくる、退職して社会的役割を失う、子どもが独立して離れていく、同年代の人が亡くなる等々、多くの喪失体験がうつ状態に陥らせるのです。
 高齢のうつ病患者さんは、日常のいろいろな動作がおっくうになったり、物事を思い出すのが遅くなったりして、一日中ボーッとしているように見えがちです。
また、うつ病の高齢者には幻覚や妄想が起こりがちなため、家族や周囲の人たちは認知症と間違えることがしばしばあります。

認知症の初期には

 一方、高齢者では認知症も増えてきます。
認知症の初期には、うつ状態を伴うこともありますので注意しなくてはなりません。
高齢者のうつ病では、気分の落ち込みを自覚するよりも、こまごまとした体の不調を訴えることが多いのが特徴ですが、うつ病か老化現象か分からずに家族が見守っているうちに、認知症が進んでしまう場合もあります。

おかしいと思ったら相談を

 うつ病と認知症では治療の方法が違うので、おかしいと思ったら、うつ病か、認知症か、両方の合併なのかを見極めてもらうことが第一です。
治療によってうつ病はずっと良くなりますし、うつ病と認知症が合併している場合は、うつ病の治療をすると認知症状も改善することが普通です。
 まず周囲の方が患者さんの様子をきちんと観察したうえで、医師と相談してください。



指導:国際医療福祉大学医療福祉学部
   教授 上島 国利
企画:日本医師会
協賛:グラクソ・スミスクライン株式会社