健康トピックス  

経過をよく観察しよう-咳がなかなか止まらないとき-



咳の起こり方と痰との関係

 鼻や口から取り入れられた空気は、気道(気管支)を通って肺に届き呼吸が行われます。
気道に異物が入った場合、あるいは炎症によって気道が刺激された場合に、反射的に起こるのが「咳」です。
 健康な人でも気道からは1日に50〜100ml程度の液体が分泌物が出ていますが、異物が気道に侵入して分泌液に付着したときや、炎症によって体内に分泌物が増えすぎたときなどに、分泌物を「痰」として咳とともに吐き出して体を守っています。

咳は二通りあり、意外な原因も

 咳には、痰を伴う咳と、伴わない「空咳」があります。一般的にカゼや急性気管支炎などは空咳の場合が多いのですが、病気が進行したり、細菌感染が起こった場合には、痰が出ることもあり、病気ごとにはっきりと分けることは困難です。
ただし、治療の大切なヒントになりますので、痰が出る場合はいつから、どのくらい出るのか、色や粘り気は、などしっかり観察し記録しておくとよいでしょう。
 咳の原因としては、気道や肺に関係する病気が多いのですが、いわゆる習慣性の「咳ばらい」は神経系の咳です。
なかなか止まらない咳は、肺炎や気管支炎、ぜんそくなどのほかに、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、胃食道逆流症、血圧を下げる薬(ACE阻害薬)の服用など、意外な原因によることもありますから、自己判断は禁物です。

咳が長く続いたら

 咳は、横隔膜や腹筋を総動員して起こるため、長引くと安眠をさまたげ体力を消耗させます。
なかなか止まらないのは、それ自体がひとつのサインで、肺がんや結核などが隠れているかもしれません。
咳が出始めて2週間以上たつようでしたら、かかりつけ医を受診しましょう。



指導:東京女子医科大学第一内科 教授 永井 厚志
企画:日本医師会
協賛:エーザイ株式会社