健康トピックス  

かぜとは限りません-湿った咳と乾いた咳-



湿った咳とは?

 私たちの気管支の粘膜からは、気管支を守るためにたえず分泌液が出ていて、知らないうちに食道へ飲み込まれています。
炎症で分泌液が増えると、一部が食道から気管支の中に入り呼吸を妨げるため、咳によって口の中に出されます。
それが痰ですが、湿った咳とは痰の出る咳で、気管支の炎症によって分泌液が増えている証拠です。
 湿った咳はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といわれる慢性気管支炎、肺気腫、そして気管支拡張症などで起こり、慢性的に痰が出ます。
注意しなければいけないのは結核で、最近は高齢の方の結核が増えています。

乾いた咳とは?

 一方、乾いた咳(空咳)は痰の出ない咳です。
かぜの場合が多いのですが、ときには間質性肺炎や肺がんのことがあります。
その場合はレントゲンやCT検査でわかります。
 レントゲンで影がないのに咳が続く場合は、気管支炎が治った後に尾を引いていたり、なかには成人の百日咳やアトピー咳嗽(がいそう)、夜中から朝方に出やすい咳ぜんそくなどの病気が考えられます。

放っておいてはいけません

 咳が出ても、どうせかぜだろうと放っておくのは禁物です。
痰が出る湿った咳の場合、鼻が悪いために鼻汁がのどに回って、痰のようにみえることがあります。
また、胃液が食道に逆流する胃食道逆流症によって、コンコンという乾いた咳が出ることもあります。
咳は意外な原因でも起こるので、長引いたら一度かかりつけの医師にみてもらいましょう。


指導: 複十字病院 院長 工藤 翔二
企画: 日本医師会
協賛: エーザイ株式会社