健康トピックス  

体の仕組みがもとに?-高齢者の首の痛み-



 人間の頭部の重さは体重の10〜13%と言われていて、体重60kgの人だと6〜8kgにもなります。
頭部の重心は頸椎(首の背骨)の前の方にあり、まっすぐ前を向いた姿勢を保つために、首の後ろにある筋肉をいつも緊張させていることになります。
そのため、頸椎の特別な異常がなくても首の痛みや肩こりのような症状をもっている人はとても多くなっています。
首が痛くなる“ある共通点”

 慢性的に首の痛みを訴えている患者さんの多くには、ある共通点があります。
背中を丸めて首と頭を前方に突き出したいわゆる“猫背”の姿勢の人が多いのです。
 まっすぐ前を向いた状態を保つのに、猫背は大変不利な姿勢で、首の後ろの筋肉に多大な負担をかけます。

高齢者では、さらに

 高齢者では、骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や、背筋力の低下のために背中が丸くなっている人が多くみられます。
さたに頸椎の下の方(背中に近い方)は長年大きな運動を強いられてきた影響で老化して変形し、動きが減少していることが多く、このような人は頸椎の上の方(頭に近い方)を強く反らさないと、まっすぐ前を見ることができなくなっています。
 エクササイズでよくなることも

 よくない姿勢が原因で起こっている首の痛みは、姿勢を変えたり、首の筋肉を鍛えるエクササイズ(訓練)でよくなる可能性があります。
 しかし、首の痛みの原因となる病気には変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症などいろいろなものがあります。
エクササイズをしても痛みがとれない場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。



指導: 鹿島労災病院整形外科 部長 岡本 弦
企画: 日本医師会
協賛: 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社