健康トピックス  

ありがちですがご用心 -声がかすれる-



 声が出るのは複雑な仕組みから

 声はのどの奥にある声門で作られます。
門のように左右両側に声帯があるため声門といわれています。
息を吸うときに声門が開き、声を出すときや食べ物を飲み込むときには閉じられる仕組みです。
 肺から出された呼気が声門の隙間を通るときに声帯が振動して、複雑な過程を経て声となります。
声帯の振動は日常会話のときで、男性が毎秒100回、女性が250回、ソプラノ歌手では1000回以上といわれ、それだけに、ちょっとしたことで声がかすれることがあります。

ふだんは日常のケアで

 コミュニケーションの手段として大切な声は、少しの変化でも気になります。
声がかすれる主な原因は下表の通りですが、いずれも声帯が関係しています。
 大声で応援した後や、かぜなどで声がかれたり、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因のこともよくあります。
よく声を出す教師や俳優、アナウンサー、場内整理などの職業による場合もあります。
日頃のケアでいたわるようにすれば、声がれともうまく付き合っていけます。






声のかすれの主な原因と関係する病気
声帯に炎症がある かぜ、声の使いすぎなど
声帯に何かできている 声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯など
声帯に腫瘍がある 喉頭乳頭種、喉頭がんなど
声門が閉じない 反回神経麻痺、老化による声帯萎縮など
老化や重大な病気のことも

 かすれ声が1週間も治らなかったり、喫煙者で声がかすれる場合は、声帯ポリープや喉頭がんのこともあります。
 また老化で声帯がやせて声門に隙間ができると、声がかすれることがあり、同時に異物が気管や肺に入ってしまう危険性もあります。
かすれ声が長く続いたり、高齢者で声のかすれが進んでむせるようになったり、声が出にくくなったりしたら、かかりつけの医師を受診しましょう。


指導: 国際医療福祉大学東京ボイスセンター 所長 福田 宏之
企画: 日本医師会
協賛: 武田薬品工業株式会社